今月もこんにちは! 現在発売中の「ミステリマガジン」5月号から、CRIME FILE(ミステリ情報)のドラマ・レビュー欄を担当しております。前号まで担当されていた大倉崇裕先生ご本人の持ち込み企画だったとのこと。がんばります!

*今月の震撼本*
アレックス・マイクリーディーズ『ザ・メイデンズ ギリシャ悲劇の殺人』(坂本あおい訳/ハヤカワ文庫)


 自宅でグループセッションを行なっている心理療法士のマリアナの元に、姪のゾーイから電話が来ます。言われるままテレビのニュースを見ると、ゾーイが通うケンブリッジのカレッジで殺人事件が起きていました。友人が被害者かもしれないので来てほしいと頼まれたマリアナは、かつて自分の母校でもあった場所を訪れ、犯人の疑いがあるカリスマ教授に近づきます。
著者名を見た途端、やったー!!!とガッツポーズ。というのも、2019年に出た『サイコセラピスト』(ハヤカワミステリ)、超怖面白かったんですよ!! そして本作も期待を裏切らない作品でした! 最愛の夫を亡くしたあと、唯一の家族である夫の姪のゾーイのために危険な領域に入りこむマリアナ。いやいや絶対それやっちゃダメだから!!と読みながら何度思ったことでしょうか。この著者作なので絶対にひどいことになるに違いないとうすうす予想はしていたものの、さらに上を行くこの残酷さ!(褒めてます)
 覚悟を決めてどうぞ。 

*今月のメタミステリ本*
サラーリ・ジェンティル『ボストン図書館の推理作家』(不二淑子訳/ハヤカワ文庫)


 ボストン公共図書館の閲覧室に突然女性の悲鳴が響きわたります。その場に居合わせたのは、オーストラリアから来た新人作家フレディ、ベストセラー作家のケイン、心理学専攻の学生マリゴールド、法学専攻の学生ウィットの男女4人。ショックから落ち着きを取り戻す過程で仲良くなった彼らは、自分たちで犯人探しをすることに決めます。……とここまでは実は作中作。それを書いているのはオーストラリア在住の人気ミステリ作家ハンナで、物語は主人公フレディの一人称で進みます。その小説を書く上でハンナは現地ボストン在住のレオにいろいろと質問をしているようなのですが、本書ではレオからハンナに宛てたメールのみが書かれています。そうしたやりとりの片方のみから、レオが作家志望だということ、有名作家ハンナの役に立てて嬉しいこと、新作に自分の意見を取り入れてもらえるかもと期待していることなどが読み取れますが、その内容が少しずつ不安な方向へ。それと併行して作中作の犯人探しが真相に向かって盛り上がっていくという、サスペンスと謎解きの両方が楽しめる一冊です。なお本書ではアメリカ英語とオーストラリア英語の違いとか、頻繁に出てくる食事シーンなども読みどころのひとつかと思いますので、興味のある方はぜひ。
 
*今月のイチオシ本*
ジリアン・マカリスター『ロング・プレイス、ロング・タイム』(梅津かおり訳/小学館文庫)
 冬時間に切り替わったばかりの10月30日、離婚問題専門の弁護士ジェンと夫のケリーは、18歳の息子トッドが家の前で男を刺し殺す瞬間を目撃してしまいます。血まみれで倒れた男は見たこともなく、明らかにトッドよりかなり年上。呆然とするジェンとケリーに「しかたなかったんだ」とつぶやくトッド。誰かが通報したのかパトカーが到着し、トッドは警察に連れて行かれてしまいますが、朝まで面会もできず、追い討ちをかけるようにすぐさま家宅捜索が始まります。いつ寝たかも覚えがないまま翌朝ジェンがベッドで目を覚ますと、なんとその日は10月28日だったのです。
 息子の動機も被害者もわからないまま、目が覚めるたびに過去にもどっていくジェン。信じられない事態に混乱しながらも、もしかしたらこのおかげで殺人事件を食い止められるのでは? タイムリープが起きるごとに過去の出来事から事件の手がかりをつかんでいくとともに、ジェンは過ぎ去った日々と再度向き合い、その大事さを噛み締めることになります。タイムリープとミステリの相性ってどうなのかなあと思いながら読み始めたのですが、ページが進むごとにどんどんひきこまれていき、気がついたら一気読み。ラストに近づくにつれ、ああ、あれはそういうことだったのか! と膝を打ちました。主人公ジェンが絶望的な状況下で必死で息子を救おうとする姿も感動的なのですが、日々の暮らしのあれこれ(台所の片付けとか気がついたら体重増とか)に対する思いがとてもリアルで、共感する読者が続出なのも納得の一冊。おすすめです。
 
 
*今月の新作映画*
『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』(3月29日(金)公開)

 ニューヨークに越してきたスペングラー一家は、イゴンの遺志とガジェットを引き継ぎ、ゴーストバスターズとして街を守ろうと頑張っていますが、メンバーの要であるフィービー(マッケナ・グレイス)が面倒なことに。そんなある日、初代ゴーストバスターズのレイ・スタンツ博士(ダン・エイクロイド)が営むオカルト鑑定店に怪しげな男(クメイル・ナンジアニ)が持ち込んだ謎の物体が最強ゴーストを解き放ってしまい、熱波のニューヨークを一瞬にして氷の世界に変えてしまいます。まだまだ新米のゴーストバスターズははたして世界の危機を救うことができるのでしょうか?




 小さな田舎町で事件が起きた『ゴーストバスターズ/アフターライフ』の続編の本作は、ゴースト本拠地のニューヨークに舞台を移します。オリジナルを楽しんでいた世代としては、やっぱりニューヨーク! いかにもな感じの薄暗い路地から、にぎやかでやたら明るい目抜通りまで、ランドマークもお構いなしに、いろんなタイプのゴースト登場し放題。ゴースト退治緊急出動 VS 渋滞、みたいな大都会ならではの交通事情がネックになるところも面白いので、戻ってくれて嬉しいです。みんな大好きマシュマロマンも景気良く大量に出てくるのでお楽しみに(笑)。前作から3年経ってトレヴァーお兄ちゃん(フィン・ウルフハード)がもう大人枠になってたり、オリジナル版の懐かしいあの人が出てたりと、シリーズものの楽しさも味わえます。それにしても『ゴーストバスターズ』のテーマ曲ってほんと映画史に残る名曲ですよね! 何度聴いても面白いし、絶対歌っちゃいますもん(笑)。



タイトル『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』
公開表記:2024年3月29日(金)全国の映画館にて公開
配給:ソニー・ピクチャーズ
 
■クレジット表記
タイトル:『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』
原題:GHOSTBUSTERS: FROZEN EMPIRE
日本公開表記: 3月29日(金)全国の映画館にて公開
US公開: 3月22日
監督:ギル・キーナン(『モンスター・ハウス』『ポルターガイスト』)
製作:ジェイソン・ライトマン(『ゴーストバスターズ/アフターライフ』『マイレージ、マイライフ』『JUNO/ジュノ』)
脚本:ジェイソン・ライトマン&ギル・キーナン
出演:ポール・ラッド(『アントマン』)、キャリー・クーン(『ゴーンガール』)
 フィン・ウルフハード(「ストレンジャー・シングス」シリーズ)、マッケナ・グレイス(『アナベル 死霊博物館』)
 クメイル・ナンジアニ(『エターナルズ』)、セレステ・オコナー(『マダム・ウェブ』)、ローガン・キム(『ゴーストバスターズ/アフターライフ』)
 ビル・マーレイ(『ゴーストバスターズ』)、ダン・エイクロイド(『ゴーストバスターズ』)、アーニー・ハドソン(『ゴーストバスターズ』)、アニー・ポッツ(『ゴーストバスターズ』)

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ハッシュタグ:#ゴーストバスターズフローズンサマー


 
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♪akira
  翻訳ミステリー・映画ライター。月刊誌「本の雑誌」の連載コラム〈本、ときどき映画〉を担当。2021年はアレックス・ノース『囁き男』(菅原美保訳/小学館文庫)、ジャナ・デリオン『ハートに火をつけないで』(島村浩子訳/創元推理文庫)の解説を書きました
 Twitterアカウントは @suttokobucho








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