今月もこんにちは! 年末ベストもラストスパートに突入の今日この頃、都内もようやく初秋を感じられる気温になってきて、温かい飲み物と読書が楽しめそうです。
*今月のYAミステリ本*
ジューン・ハー『宮廷医女の推理譚』(安達眞弓訳/創元推理文庫)
*今月のずっしり本*
マイクル・コリータ『穢れなき者へ』(越前敏弥訳/新潮文庫) 舞台となるのはメイン州の海岸に近い小さな島。実父殺害の罪で15年間服役し、3ヶ月前に出所したイズレイルは、7つの遺体を乗せたヨットを発見、その中には有名政治家も含まれていました。叔父で保安官補のスターリングらは彼の関与を疑ってかかります。同じ頃、隣の島に住む少年ライマンは、手斧を持った傷だらけの少女と出逢います。物語は、イズレイルの過去、父親に虐待されているライマンの孤独、正体不明の少女の秘密が少しずつ明かされ、読者は読み進むほどに、彼らの哀しみと怒りと辛さに向き合うこととなります。ページ数は600ページ以下ですが、内容がずっしりと重くて、でも最後には、読んで本当に良かったと思えるはず。帯の巨匠たちの激賞も納得の一冊です。
*今月のフェアなミステリ本*
ベンジャミン・スティーヴンソン『真犯人はこの列車のなかにいる』(富永和子訳/ハーパーBOOKS)
*今月のそんなまさか本*
M・W・クレイヴン『デスチェアの殺人』(東野さやか訳/ハヤカワ文庫)
*今月のイチオシ本*
アンソニー・ホロヴィッツ『マーブル館殺人事件』(山田蘭訳/創元推理文庫)
(*第1話は昨年のエドガー賞最優秀TVエピソード部門の候補に)
*今月の新作映画*
『ワン・バトル・アフター・アナザー』【2025年10月3日(金)全国公開】

かつては〈フレンチ75〉という革命グループで破壊活動に励んでいたボブ(レオナルド・ディカプリオ)も、今はティーンとなった娘ウィラ(チェイス・インフィニティ)と、冴えないながらも平和な日々を送っていました。そんなある日、革命家時代からボブに異常な敵意と執着心を抱いていた軍人ロックジョー(ショーン・ペン)がボブの前に姿をあらわします。ウィラはさらわれ、最愛の娘を取り戻すためにボブが助けを求めたのは空手道場の“センセイ”(ベニチオ・デル・トロ)。ボブはかつての勘をとりもどして娘を救えるのでしょうか。


前述の『ファントム・スレッド』、『リコリス・ピザ』、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』、『ザ・マスター』等々、毎回全く違った作品で驚かせてくれるポール・トーマス・アンダーソン監督の新作は、アクション、コメディ、ポリティカル・サスペンス、クライム、ロマンス、ファミリードラマ、サイコロジカル・スリラー……とどのジャンルでとらえても抜群に面白い一作となりました! エンドクレジットに Inspired by Thomas Pynchon “Vineland” とあるように、トマス・ピンチョンの大ファンで以前『LAヴァイス』(映画名『インヒアレント・ヴァイス』)も映画化したアンダーソン監督が、ピンチョンの了承を得て『ヴァインランド』(新潮社刊)の“本当に心に響いた部分を「盗んで」、これらすべてのアイデアをひとつにまとめ”て作った映画だとのこと(プレスシートより)。時代設定も現代に変えています。


監督の出世作『ブギーナイツ』の主演を断ったことをいまだに後悔しているというディカプリオ扮する主人公ボブは、ダメダメ親父だけれど娘への愛情は世界一。ショーン・ペンが演じるロックジョーの登場場面がとにかく衝撃的なのに対し、“センセイ”デル・トロが出てくるとほのぼのします。あ、それからトニー・ゴールドウィンがいかにも! という役で登場します(笑)。百聞は一見にしかず。162分、映画館で物語にとことん没頭してください!


◆タイトル:映画『ワン・バトル・アフター・アナザー』
◆公開日:10月3日(金)全国公開 IMAX®/Dolby Cinema®同時公開
◆配給:ワーナー・ブラザース映画
◆コピーライト:© 2025 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.
IMAX® is a registered trademark of IMAX Corporation.
Dolby Cinema® is a registered trademark of Dolby Laboratories
▼公式サイト・SNS各種 #映画ワンバトル
・公式サイト:obaa-movie.jp
・X(旧Twitter):https://twitter.com/warnerjp
・Instagram:https://www.instagram.com/warnerjp_official
・TicToc:https://www.tiktok.com/@warnerjp
◆映画『ワン・バトル・アフター・アナザー』30秒予告|2025年10月3日(金)公開◆
| ♪akira |
|---|
翻訳ミステリー・映画ライター。月刊誌「本の雑誌」の連載コラム〈本、ときどき映画〉を担当。2025年8月には、リチャード・オスマン『木曜殺人クラブ』(羽田詩津子訳/ハヤカワ・ミステリ文庫)と、ピーター・トレメイン『修道女フィデルマの慧眼』(田村美佐子訳/創元推理文庫)の解説を担当しました。Twitterアカウントは @suttokobucho 。 |
