今月もこんにちは! 年末ベストの投票が終わり、一安心したところでいきなり秋を通り越して冬の到来。急な寒さに対応できず体調を崩してしまい、今月は何冊か途中までしか読めなくて無念。
*今月の家族の秘密本*
キンバリー・マクリート『母の嘘、娘の秘密』(北野寿美枝訳/ハヤカワ文庫)
*今月のアルゼンチン・ホラー本*
マリアーナ・エンリケス『秘儀』(宮﨑真紀訳/新潮文庫)
*今月のイチオシ本*
エリー・グリフィス『小路の奥の死』(上條ひろみ訳/創元推理文庫)
*今月の新作映画*
『サムシング・ハプンズ・トゥ・ミー』【2025年10月31日(金)全国ロードショー】




IT部員として勤めていた会社が突然倒産してしまった主人公のルシア(マレーナ・アルテリオ)。未払いの賃金と父親の介護で、急いで職を探さなければならないルシアは、ふと乗ったタクシーの運転手との会話で、個人タクシーを始めることにします。まったく未経験の職種でしたが、たまに出くわすちょっとした危険もなんのその、自分のペースで働ける仕事は、予想以上に生きがいを感じさせてくれたのです。初仕事で乗せた女性ロベルタ(アイタナ・サンチェス=ヒホン)と世間話で盛り上がったルシアは、彼女に秘密の推し活について告白します。部屋に流れてきたオペラ『トゥーランドット』の美しい歌声に魅せられ、同じアパートに住んでいた男性と知り合ったのです。彼との出逢いが、無味乾燥だったルシアの人生を変えました。いつか彼が自分のタクシーに乗り込むことを夢見てマドリードの街を走るルシアでしたが、やがて物語は不穏なサスペンスの様相を呈していきます。



ブエノスアイレス出身のアルテリオは、本作でスペイン版アカデミー賞ともいわれるゴヤ賞の主演女優賞を受賞しました。原題はオペラ『トゥーランドット』の有名なアリアと同じ「誰も寝てはならぬ」。スペインの作家フアン・ホセ・ミリャスの同名小説(未訳)の映画化だそうです。ルシアの運命はトゥーランドットの物語とどうかかわってくるのでしょうか。




◆タイトル:『サムシング・ハプンズ・トゥ・ミー』
◆something-happens.com
◆監督:アントニオ・メンデス・エスパルサ
◆出演:マレーナ・アルテリオ、アイタナ・サンチェス=ヒホン、ロドリゴ・ポイソン、ホセ・ルイス・トリホ、マリオナ・リバス、マヌエル・デ・ブラスほか
2023年/スペイン、ルーマニア/スペイン語/122分
カラー/アメリカンビスタ/5.1ch
◆原題:Que nadie duerma
◆字幕翻訳:杉田洋子
R15+
◆配給:反射光
◆配給協力:エクストリーム
© UNA PRODUCCION DE QUE NADIE DUERMA AIE – AVANPOST
▼公式サイト・SNS各種
・公式サイト:something-happens.com
・X(旧Twitter):https://x.com/something_movie
・Instagram:https://www.instagram.com/extreme__film/

◆映画『サムシング・ハプンズ・トゥ・ミー』予告編◆2025年10月31日(金)全国ロードショー【公式】◆
| ♪akira |
|---|
翻訳ミステリー・映画ライター。月刊誌「本の雑誌」の連載コラム〈本、ときどき映画〉を担当。2025年8月には、リチャード・オスマン『木曜殺人クラブ』(羽田詩津子訳/ハヤカワ・ミステリ文庫)と、ピーター・トレメイン『修道女フィデルマの慧眼』(田村美佐子訳/創元推理文庫)の解説を担当しました。Twitterアカウントは @suttokobucho 。 |
