書評七福神とは翻訳ミステリが好きでたまらない書評家七人のことなんである。
この連載が本になりました! 『書評七福神が選ぶ、絶対読み逃せない翻訳ミステリベスト2011-2020』(書肆侃侃房)は絶賛発売中です。
というわけで今月も書評七福神始まります。
(ルール)
- この一ヶ月で読んだ中でいちばんおもしろかった/胸に迫った/爆笑した/虚をつかれた/この作者の作品をもっと読みたいと思った作品を事前相談なしに各自が挙げる。
- 挙げた作品の重複は気にしない。
- 挙げる作品は必ずしもその月のものとは限らず、同年度の刊行であれば、何月に出た作品を挙げても構わない。
- 要するに、本の選択に関しては各人のプライドだけで決定すること。
- 掲載は原稿の到着順。
酒井貞道
『両京十五日Ⅱ 天命』馬伯庸/齊藤正高・泊功訳
ハヤカワ・ミステリ
我らがポケミスの2000番と2001番は、2冊で1長篇の冒険小説である。だがもっと大事なことがある。傑作なのです。
1425年の中国・明を舞台に、副首都・南京に着いたばかりの皇太子――後の宣徳帝が、父帝・洪熙帝の重体の報を受けて、急遽首都・北京に戻る約十五日間の冒険譚である。皇太子は南京に到着した途端に火薬を使ったテロを起こされ、本人は軽傷で助かったものの、随行した臣下が相当数、殺されたり人事不省に陥ってしまう。北京と南京の対立、蠢動する白蓮教、皇帝の後継者争いなどが相まって、誰が味方で誰が敵か全くわからない中、皇太子は、南京の融通の利かない官僚、うだつの上がらない捕吏(実は有能)、謎めいた女医の助けを借りて、四人で北京を目指すことになる。この道程が手に汗握るシーンが満載であり、息つく暇はない。本当にない。「続きが気になる」状態が高いテンションでずっと続く。登場人物描写も実に魅力的だ。皇太子一行の四人の性格と、信頼関係の深化が、説得力満点に描かれている。その他の主要登場人物だって、敵も味方も等しく人格が鮮明に立ち上がり、その言動にはいちいち「確かにこの人ならこう動くよな」という説得力が強い。加えて、当時の風俗もたいへん詳らかに、しかし話の流れは一切緩めることなく、活き活きと描き込まれている。これだけでも傑作だが、『天命』に入った途端に、物語のギアは明らかに一段上がり、後は幕切れに向けてギアが上がり続ける。状況が刻一刻と劇的に変化し、既に握っていた手の中は追加の大量発汗でびしょびしょだ。おまけにラストでは、ミステリ的な驚きを含むクライマックスが訪れるのである。素晴らしい。素晴らしいぞ。
なお、明という王朝は、足利幕府と勘合貿易を始めたり、豊臣秀吉と戦ったりして日本と縁は深いけれども、『史記』『十八史略』『資治通鑑』『三国志』『水滸伝』といった、日本でも有名な中国の物語ではカバーされておらず、直感的にイメージしづらかったと思う。作者は本書で、1425年以降の明の史実をも踏まえて、時代を鮮明に書き起こした。この点でも高く評価したい。
川出正樹
『ボストン図書館の推理作家』サラリー・ジェンティル/不二淑子訳
ハヤカワ・ミステリ文庫
今月は好みの作品が多い月だった。警察官の姉が同僚に隠したまま、袂を分かっていた凄腕詐欺師の異母妹と組み、姉妹の過去と密接に絡んだ連続不可能犯罪事件に挑むJ・L・ブラックハースト『スリー・カード・マーダー』(三角和代訳/創元推理文庫)。不法侵入の疑いで非番の白人警官に射殺された姉の無実を確信する高校二年生の妹が、現場から逃走した姉の恋人を探すべく奮闘するジュリアナ・グッドマン『夜明けを探す少女は』 (圷香織訳/創元推理文庫)。
前者は、密室状態にある五階の部屋から落下したと思しき喉を切り裂かれた男の死を始めいくつもの不可能犯罪に彩られたスピーディーかつ捻りの利いた謎解きミステリで、マジック好きの妹がジョン・ディクスン・カーの〈密室講義〉を引き合いに出して常識的な姉にしたり顔で密室の謎解きをするシーンにニヤリとしてしまう。一方後者は、プロジェクト(低所得者層用公共住宅)に暮らす絵の才能に恵まれた黒人の少女が、不平等と不正義が蔓延る現実に抗い傷だらけになりながらも姉の死の真相を追い続ける、ブラック・ライブズ・マターというテーマに正面から挑んだ、苦さの中に一掬の爽快さを備えたYA小説だ。
愛情一色ではない複雑な感情を抱き合う姉妹の物語としても読み応えのある二作のうちどちらを選ぶかで悩みつつ、続いてサラーリ・ジェンティル『ボストン図書館の推理作家』を手に取ったところ予想を上回る面白さで、今月の一押しはこれに決定。作中作ミステリの新機軸に挑み、作品内の現実とフィクションとを呼応させた先読み不能のスリリングな逸品だ。
作中作もののキモは、“原稿の読者は誰か”という点にある。これまで編集者や事件関係者、さらには犯人といった特定の人物から作品内の不特定多数の人まで様々な作品が書かれてきたけれども、出版前の作品を読んで作者に助言するベータ読者に設定したミステリは読んだことがない。
物語は、世界的な人気を博すオーストラリア在住のミステリ作家ハンナのベータ読者であり、ボストン公立図書館(BPL)を根城にしている作家志望者でもあるレオが、彼女に新作の状況をうかがうメールの中で、自身は執筆スランプに陥っていると愚痴るシーンで幕を開ける。続く作中作は、オーストラリアで奨学金を受賞しボストンでデビュー作を執筆中のフレディが、BPLの閲覧室で同席した三人とともに突然館内に響き渡った女性の悲鳴に驚く場面からスタートする。なぜか悲鳴を上げた女性が見つからない中、共通非日常体験から親交を深める四人だが、作者のハンナは、大胆にもフレディと同席した三人の中に殺人者がいると早々に記す。なんともわくわくする出だしだ。
以後、作中作とレオからハンナに当てたメールという”虚構”と”現実”の二つの物語が互いに影響しながら進んでいくのだが……、ここから先は興を削ぐため何も語れなのだけれども、一言だけ記すと、オーストラリア人作家ハンナにアメリカ合衆国を舞台にした作品を書かせた作者サラーリの目論見が判明した瞬間、思わず唸ってしまった。この試みは、ベータ読者と並ぶ作中作ものの新機軸だ。作中作の謎解きミステリとしの練度も高く、締めくくり方もグッド。ぜひ、他の作品も続けて訳して欲しい。
霜月蒼
『両京十五日Ⅱ 天命』馬伯庸/齊藤正高・泊功訳
ハヤカワ・ミステリ
「その本、面白い?」と問われて、一片の屈託もなく「めっちゃくちゃ面白い!」と莞爾たる笑みとともに言い切れる本はなかなかない。そんな本が出た。『両京十五日』である。便宜上、3月発売の『両京十五日Ⅱ 天命』が「3月期ベスト」となっているが、2月刊の『Ⅰ 凶兆』と合わせて上下巻の『両京十五日』という大長編であるので、まとめて月間ベストだとご理解いただきたい。
15世紀、明代の中国。都・北京から南京に派遣された皇太子の船が、南京到着の瞬間、出迎えの南京高官もろとも爆破された。九死に一生を得た皇太子は、皇帝が病に倒れたこと、皇位簒奪の謀略が進行していることを知る。デッドラインまで15日。爆発で全側近を失った皇太子は、南京で出会った凄腕捕吏(一見昼行燈風)、忠義に厚く怜悧な官僚、そして謎めいた女医を道連れに、1000キロの彼方の北京まで敵中突破の旅に出る――
という物語なのだが、とにかく活劇場面がすばらしい。アクションのアイデアに関して馬伯庸は天才であり、危機また危機、逆転に次ぐ逆転、活劇のロケーションも冴えに冴えており、例えば閘門を舞台に展開される戦いは知的アイデアと壮大なスペクタクルが同時に展開する壮絶なもので、これが作品全体でいえばワン・オブ・ゼムであるのも凄い。そんなアクションの連続を主人公たちの感情の熱さが支える。皇帝も捕吏も官吏も医者も、義と友情を叫んで命をかけ、これが少しも浮わつかないから読む者も燃えるのだ。
つまりこれはもう藤田和日郎である。『うしおととら』か『からくりサーカス』かという、満身創痍の冒険活劇。こんな小説が令和になって読めるとは思わなかった。主人公側だけでなく敵方もキャラがぶっ太く立っていることとか、最後の最後にミステリ的なサプライズも待ち受けているとか、そこで明かされる復讐劇の動機が胸を衝くものだとか、漢語を見事に織り交ぜた訳文のカッコよさとか、言いたいことを上げ出したらキリがないのでやめておくが、ここ数年で最強の冒険小説であることは間違いない。最高。読め。始終おやつをもぐもぐやっている男装の策士(敵方)なんてキャラも出てくるぞ。
あとJ・L・ブラックハースト『スリー・カード・マーダー』も好きでした。「《奇術探偵ジョナサン・クリーク》ミーツ《華麗なるペテン師たち》」と聞いてオッと思った人は必読。E・D・ホック風の密室殺人が3つも入っていて、楽しいです。サム・ホーソーンやフェル博士の名に言及するようなミステリ作家は大事にしたいじゃないですか。
吉野仁
『あの夏が教えてくれた』アレン・エスケンス/務台夏子訳
創元推理文庫
主人公は、アメリカの小さな町で暮らす高校生ボーディ。ある日、黒人女性が失踪した事件に関する聞き込みで保安官が隣人ホークの家へ訪ねて来たことから物語は動きだす。これは、都会から離れた田舎町の母子家庭で育った男が過去を回想するスタイルの作品であり、主人公の孤独や不安、町を覆う不穏な空気はトマス・H・クックの〈記憶シリーズ〉を思い起こし、田舎の青春時代回想ということではマキャモン『少年時代』などを筆頭とする郷愁あふれた名作群に通じるところがある。しかしボーディの高校生活や隣人となった黒人少年との交流の描き方は、あくまで現在起きている出来事をたどっていくという感じで、この場面場面がじつに読ませるのだ。ひきこまれてしまった。解説で古山裕樹さんが「作中のミステリとしての仕掛けはいたってシンプル」と書いているとおりだし、全体に、この手の作品の定石ばかりともいえる展開にもかかわらず、田舎町青春ミステリとして文句はない。と、こうした魅力ある若い少年少女の活躍が愉しめるということでは、エドガー賞YA部門候補作、ジュリアナ・グッドマン『夜明けを探す少女は』も同じだ。こちらは大都会シカゴが舞台ながら、低所得者用団地で暮らす黒人少女ボーが主人公。不法侵入の疑いで警官に射殺された姉の事件をめぐり、彼女の無実を証明しようとボーが奮闘する物語。高校生活が活き活きと描かれている点も含め、『あの夏が教えてくれた』と『夜明けを探す少女は』は、ある意味、対になっているところが感じられるため、興味のある方はぜひ読み比べをしてほしい。そのほか、先月挙げた馬伯庸『両京十五日 Ⅰ凶兆』の続編にして完結篇『両京十五日 Ⅱ天命』はもちろんその語りの力と熱量にやられた華文冒険小説の傑作だった。言うことなし。一方、台湾発の話題作、張國立『炒飯狙撃手』は、一流の狙撃手と定年退職間近の刑事が主人公をつとめる謀略スリラー活劇もので、炒飯に関しての言及はもうすこしほしかったものの、最後まで十分に満足した。カルロス・ルイス・サフォン『マリーナ バルセロナの亡霊たち』はサフォンの初期作ということで、いつもながらの、作者ならではの小説世界が味わえてうれしい。J・L・ブラックハースト『スリー・カード・マーダー』は、詐欺師一家が登場し、姉妹がコンビで不可解な密室殺人に挑むという異色もので、とうぜん愉しく読める。そういえば先月刊で紹介し損ねた、カミラ・レックバリ&ヘンリック・フェキセウス『罪人たちの暗号』は、女性刑事と男性メンタリストのコンビによるシリーズ(三部作)の二作目で、詐欺師とメンタリストとの違いはあるものの、心を読むプロの曲者という点で共通性があり、こちらもあわせて読むと興味深いかも。最後に、凝った記述による作品がふたつ。まずジャクリーン・バブリッツ『わたしの名前を消さないで』は、なんと殺された十八歳の女性が語り手となって、事件のその後を追っていくという異色サスペンスだ。どこへ向かうかわからないプロットを含め、独特の読み心地あり、驚かされた。アラン・パークス『悪魔が唾棄する街』は、〈刑事ハリー・マッコイ〉シリーズの三作目だが、これまで「一月」「二月」と題名についてのが、今回「三月」の文字は入っていない。もしかすると主要人物の名前マーチと「街」をかけた洒落なのかも。ともあれ70年代のグラスゴーと当時の音楽シーンの描き方などが興味深かった。ジェイムズ・S・マレイ&ダレン・ウェアマウス『密航者』は、大型クルーズ客船に連続殺人鬼がまぎれこみ、残虐な殺人を重ね、ヒロインとその家族に危機が迫るサスペンスというか、ホラースリラーのような展開で、それこそ船の旅でねころんで読みたいタイプの娯楽作だ。そして話題のジリアン・マカリスター『ロング・プレイス、ロング・タイム』は、目覚めるときのうの朝に戻り、その次の日はさらに一昨日の朝に戻るというタイムリープをしつつ、息子が犯した殺人の理由を暴き、阻止しようと果てしなく過去へと向かう母の物語。なるほど、あまり深く考えずに話にゆだねて読んでいくと、そう来て、そこに決着するのかと面白がることができる。そして、今月、これをイチオシにしようかどうか迷ったのが、サラーリ・ジェンティル『ボストン図書館の推理作家』だ。いわゆるメタミステリなのである。オーストラリア在住の人気作家ハンナがボストン公共図書館を舞台に小説を書き、それについてボストン在住の作家志望者がメールで助言していくというのが外枠。で、ハンナの描くミステリが作中作(内枠)として展開するのだが、そのふたつが干渉しあっていくという、これ以上くわしくは書けないけど、企みに満ちた奇妙な小説なのだ。枠から外れたおかしなメタミステリ好きは必読。題名が地味すぎて、この手のものを偏愛しながら気がつかない人もいるだろうから、やっぱりイチオシにすべきだったか、と、いまも書きながら迷ってる。ミステリ読書会好きな人たちにとって最適な課題図書となることには間違いない。
千街晶之
『両京十五日Ⅱ 天命』馬伯庸/齊藤正高・泊功訳
ハヤカワ・ミステリ
言うまでもなく、前の月に刊行された『両京十五日Ⅰ 凶兆』と合わせて一作という扱いである。十五世紀、明王朝時代の中国。皇帝の命令で南京に赴いた皇太子・朱瞻基の乗る船が爆破され、辛うじて命拾いした彼を次なる刺客が襲う。そこに皇帝危篤の報せが届き、朱瞻基は僅かな仲間とともに帝都・北京に帰還しようとするが……。タイトル通り、南京から北京までの十五日間の冒険を描いているが、とにかく危機また危機の連続で、皇太子という身分にありながら、この朱瞻基ほど冒険小説史上で絶体絶命の立場を繰り返し味わった人物も珍しいのではないか。彼とともに北京へと向かう、無能を装う切れ者の捕吏、生真面目で有能な下級官僚、わけありの女医といった顔ぶれのそれぞれに胸が熱くなるような物語が用意されているし、異様な動機で捕吏の命を狙う不死身の怪人、神出鬼没の白蓮教徒の女といった敵側のキャラも、一国の皇太子の命を狙うだけあってみな肝が据わった強敵ばかり(白蓮教の教主「仏母」が登場した時の大胆な訳文には度肝を抜かれた)。そしてこの小説、紫禁城でのクライマックスで終わっていても傑作として評価されたと思うのだが、そのあとに驚愕の展開が待っているのだ。エンタテインメントの全部盛りとも言うべき超大作であり、読後は満漢全席を食べ終わった時のような満腹状態になることは間違いない。なお、三月は『両京十五日』が傑作すぎて一票を入れるしかなかったが、J・L・ブラックハースト『スリー・カード・マーダー』も強く推したい。姉は刑事、妹は詐欺師……この異母姉妹の過去を知る男が密室で殺害され、普段は疎遠な姉妹が共通の危機を前にして謎解きに挑む物語である。二人がどうやって次々と襲いかかる危機を切り抜けるか、最後の最後まで目が離せない。
杉江松恋
『スリー・カード・マーダー』J・L・ブラックハースト/三角和代訳
創元推理文庫
気持ちよく騙された一冊、というのはちょっと注釈がいるだろう。
本作はジェニー・ブラックハースト名義で複数冊の著書がある作家が心機一転して始めた新シリーズの第一作で、サセックス警察署のテス・フォックス警部補が主役を務める。彼女が扱うことになった事件は、男がビルの五階にある自室から転落して死んだというものだ。それだけならどうということはないのだが、遺体の喉には切り傷があり、転落しなくとも死に至っていたはずである。さらに故人の家は中から板によって密封されていて、事件当時は密室状態であったことがわかる。犯人がそこからどうやって逃亡したかという可能性を警察官たちがああでもないこうでもないと議論し始めるのである。おお、不可能犯罪ミステリー。作中ではジョン・ディクスン・カー『三つの棺』への言及があり、作者が意識していることは明らかである。
そういう話かと思うではないか。なのに話は意外な方向に曲がり始める。殺人事件の犠牲者は、実は主人公の異母妹であるセアラとなんらかの関係があり、ひいてはテス自身が秘密にしている過去の出来事を明るみに出してしまうかもしれない人物であることがわかる。この秘密はけっこう大変なものである。そこでテスはセアラに会わなければならなくなる。この異母妹、なんとコールドリーディングや変装の技能を生かした腕利きの詐欺師なのである。個人でやっているだけではなく、テスの父親であるフランクも含めた大詐欺師集団に属している、ということがわかると話はもう全然別物になってくる。警察官の家族に詐欺師集団がいるって。身辺調査とかしないのかイギリスの警察って、とこのへんから話のリアリティレベルが変わり始める。警察官の姉と詐欺師の妹が呉越同舟で事件を解決する相棒小説、というのが真の顔で、この設定を成り立たせるために多少の無理は仕方ない、という話なのである。もちろんすこぶるおもしろい。立場の違いから相手を信用しきれない二人がどういう関係を築きなおしていくか、セアラの背後にいる詐欺師集団はどうなるか、というのが興味の中心となるわけで、つまりはこれ、疑似関係も含めた家族小説なのだ。なんだ、そういう話なら最初からそう言ってくれればいいのに、すっかり見た目に騙された、などと言いつつ最後まで楽しんで読んだ。ちなみに最初のものを含めて殺人事件は複数起きる。ガチガチの謎解きを求める人はちょっと物足りないかもしれないが、稚気溢れる書きぶりで私は好感を持った。
中国冒険小説が強かった3月でしたが、謎解き小説もバラエティに富んだものがあって負けてない、という印象でした。来月はどうなることか、楽しみにお待ちください。(杉)
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