今月もこんにちは! やっと秋めいてきたなあと思った矢先に蚊に刺されました……。気を取り直して読書の秋に突入。今月はすべてシリーズもので!
*今月の年配バディ本*
マイクル・コナリー『復活の歩み リンカーン弁護士』(古沢嘉通訳/講談社文庫)
*今月の高カロリー本*
ジャナ・デリオン『町の悪魔を捕まえろ』(島村浩子訳/創元推理文庫)
*今月のイチオシ本*
ジェフリー・アーチャー『狙われた英国の薔薇 ロンドン警視庁王室警護本部』(戸田裕之訳/ハーパーBOOKS)
*今月の新作映画*
『ふたりで終わらせる』(11月22日(金)公開)
夢だったフラワーショップを開くためボストンにやってきたリリー(ブレイク・ライブリー)は、脳神経外科医のライル(ジャスティン・バルドーニ)と運命的な出会いをし、強く惹かれ合います。お互いを人生のパートナーとして幸せな日々を送りますが、ある出来事がリリーの暗い記憶を呼び戻すことになってしまったのです。
原作は全米で大ベストセラーとなったコリーン・フーヴァー『イット・エンズ・ウィズ・アス ふたりで終わらせる』(相山夏奏訳/二見書房)。自分の母親をより深く理解するためにこの小説を書いて、「何よりも、母の抱えていたものの多くを癒すことができました」「母はこの本を読むことで、あのとき自分は正しい決断をしたんだ、とようやくこの件に終止符を打つことができたんです。」というフーヴァーの言葉に、深く感銘を受けました。
そして主演のブレイク・ライブリーが圧巻でした。彼女はその屈託のない笑顔と明るさで、観ているこちらの方にも幸せなオーラが伝わってくるイメージが強いのですが、本作では、それとは対極の印象に驚かされます。ある事件が起きて、主人公リリーが長年ずっと抱いていた不安や恐怖がよみがえり、彼女の人生を暗い影が覆い始めると、その表情や動作が徐々に変わっていくところが大変リアルで、一瞬たりとも見逃せませんでした。
監督でもあるライル役のバルドーニに、フーヴァーは「彼ならば、リリーと同じような経験をしてきた人たちへ敬意を払いながらこの物語を語ってくれると確信しました。」と絶大な信頼をよせています。原作の精神を維持したいと、作者、監督、脚本家は原作の熱烈なファン(通称Cohort)を集めて正直な意見を聞いたそうです。映画ではタイトルを作品の中で言うことを避けるため、原作の重要なそのセリフを抜いた脚本を見せたところ、その反応の大きさですぐさまセリフを戻したとか。原作ファンを大切にしたいという願いをこめられた作品なので、日本のファンのみなさまもぜひ。
▼公開情報
・タイトル:『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』
・原題:IT ENDS WITH US
・US公開:2024年8月9日
・公開日:2024年11月22日
・監督:ジャスティン・バルドーニ(『ファイブ・フィート・アパート』)
・キャスト:ブレイク・ライブリー/ジャスティン・バルドーニ/ジェニー・スレイト/ブランドン・スクレナー
・原作:コリーン・フーヴァー(「イット・エンズ・ウィズ・アス ふたりで終わらせる」二見書房刊)
・2024年/アメリカ映画/2時間10分
公式サイト: https://www.itendswithus.jp/
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■『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』予告 11月22日(金)全国の映画館で公開!■
♪akira |
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翻訳ミステリー・映画ライター。月刊誌「本の雑誌」の連載コラム〈本、ときどき映画〉を担当。2021年はアレックス・ノース『囁き男』(菅原美保訳/小学館文庫)、ジャナ・デリオン『ハートに火をつけないで』(島村浩子訳/創元推理文庫)の解説を書きました Twitterアカウントは @suttokobucho 。 |