みなさま、カリメーラ(こんにちは)!
 前回まではギリシャ・ミステリの新しいところをご紹介してきました。今回は逆に、最も古い作品に遡ってみたいと思います。

◆純文学作家のミステリ

 数年前まで、最古のギリシャ・ミステリといえば、1928年のパヴロス・ニルヴァナスによる『プシヒコの犯罪』、というのが定説でした。ヴァン・ダイン『ベンスン殺人事件』、クリスティ『アクロイド殺し』発表の二年後、クイーン、ハメット、シムノン登場の前年のことです。

 パヴロス・ニルヴァナス『プシヒコの犯罪』

 インディクトス社、2006(元ミステリ作家クラブ会長ヤニス・ランゴス編集による改訂新版)。
  初出『観客』1927-28。

 無実の主人公が殺人事件の容疑者として逮捕、投獄、起訴されて有罪となり、古都ナフプリオの刑場での死刑を宣告されます……確かに、ミステリ的構造を備えており、主人公が助かるのだろうかというハラハラ感も相当なものですが、作者の眼目は20世紀初めアテネの風景――ゴシップ談義に明け暮れる上流サロンから、陰惨な獄舎の状況までの様々な階層――の風俗描写にあります。ミステリ小説・映画にハマるあまり、自分が犯罪者だと夢想してその気になってしまう主人公の心理も尋常でありません。謎が論理的に解かれていくタイプというわけではなく「ミステリのパロディ」と呼ぶ批評家もいます。
 プシヒコはアテネ北方の高級地区ですが、当時は家も少なくいかにも事件が起りそうな場所だったようです(ヤニス・マリスのデビュー作『コロナキの犯罪』(1953年)の題名はこの作品へのオマージュに違いありません)。
 実はニルヴァナスは1880年代から文学界の潮流となった、村や都市の生活をリアルに描く《新アテネ派》の純文学作家です。新聞のコラム記事も数多く執筆し、中学・高校の国語の教科書にも小説やエッセイが載っていますが、ミステリ・ファンにはこの作品で記憶に残ることになりました。

 ところが、今から五年ほど前のことです。《愛憎ひとすじ》フィリポス・フィリプ六歌仙No.3)が20世紀初め(1913-14年)に雑誌連載されていたミステリを発掘し、《リアリズムの極北》アンドレアス・アポストリディス六歌仙No.5)の監修の下で(じつに百年後に!)書籍出版されました。今ではこれがギリシャ・ミステリ第一号と考えられています。『シャーロック・ホームズ、ヴェニゼロス氏を救う』(2013年刊)です。

◆ギリシャ・ミステリ第一号『シャーロック・ホームズ、ヴェニゼロス氏を救う』

 作者不詳『シャーロック・ホームズ、ヴェニゼロス氏を救う』
 アグラ社、2013。初出『ヘラス』1913-14。
【下段、シルクハットに白髭の紳士がヴェニゼロス首相】

 舞台は20世紀初めの第一次バルカン戦争。1912年10月弱体化するオスマン・トルコ帝国に対して、ギリシャ・セルビア・ブルガリア・モンテネグロ四カ国が宣戦布告しました。終結を見るのは翌年5月末ですが、途中12年12月に一時休戦となり、講和会議のため参戦国代表団がロンドンに集まります。ギリシャ代表は強烈な個性で国家の拡大政策を推し進めるカリスマ政治家エレフセリオス・ヴェニゼロス首相。ロンドンではテロリストたちが待ち構えますが、ベイカー街の偉大な探偵がその魔手から守るというお話。
「Κ.Κ.Κ.」の署名のある怪文書が見つかり、ホームズは紙の透かしからブルガリア人犯罪集団の関与(!)を嗅ぎ取ります。(両者は本来無関係なはずですが何と強引な……)「五つのオレンジの種」同様にホームズは百科事典を引き、犯罪組織「Κ.Κ.Κ.」はロンドンにも支部があり(!)、その目的は要人の暗殺であることを知ります(それにしても本書の反ブルガリア色は顕著です。ギリシャはこの数年前に国境を接するブルガリアとマケドニア紛争で衝突していますし、1913年6月末からの第二次バルカン戦争の相手はややこしいことに第一次戦争後の領土分配に不満を持ったブルガリアでした)。
 インペリアル・ホテルやコヴェント・ガーデンで首相襲撃が続き、ヤマ場は講和会議の舞台となる聖ジェームズ宮殿。ロンドン在住のバルカン諸国の人々が大勢歓迎に集まる中、馬車で次々に到着する代表団がなかなかに壮観です。傍らの紳士がワトスンにギリシャ代表メンバーの名をいちいち教えてくれる向かい側で、二人のブルガリア人が怪しげな動きを見せます。なぜかホームズは姿を現さず、首相の運命は果たして?
 件の怪文書が鵞鳥の胃袋から見つかったり、帽子から持ち主を推理(「青いガーネット」ですね)、はたまたホームズが変装して阿片窟に潜入したり(これはいただけません。「唇のねじれた男」の完全なパクリです)、とツッコミどころにあふれています。
 ホームズは158カ国語の自分の名の綴り方を知っていると豪語するし(どこからこの数が出てきたのかわかりませんが、カタカナも読めるらしい)、テロリストに対抗しようと片言のブルガリア語を学んだりもします。悪漢どもに襲われた際、ポケットの携帯パラシュートで脱出(!)、何か元ネタがあるんでしょうか? 
 時代の風俗を細やかに描こうとした『プシヒコの犯罪』に比べ、『ホームズ、ヴェニゼロス氏を救う』はとにかく娯楽に徹した通俗スリラーです(まったく別タイプなので、ミステリ史上の《先陣争い》はそれほど意味がありません)。作者は不詳ですが、掲載誌『ヘラス』の発行者・編集者自身の作ではないかと推測されています。この雑誌はそれ以前にもドイルの翻訳や「ケアリー提督」なる贋作も載せており、全編を通じてロンドンで展開しギリシャ風味もほとんどない本作は、読者には新作ホームズ(の翻訳)と受け取られたのかもしれません。
週刊誌『ヘラス』に連載されたのは1913年12月から翌年3月までで、いまだバルカン戦争の記憶は生々しく、さらに三ヵ月後にはサラエヴォでオーストリア皇太子が暗殺され、第一次世界大戦が勃発します。要人の暗殺はこの時期おびただしく発生しており、ギリシャ国王ゲオルギオス一世もこの作品の数ヶ月前にテサロニキで暗殺されています(真相が闇に埋もれた八十年前のこの事件を調査していたのがフィリプ『さらば、テサロニキ』の探偵レオンダリス氏[エッセイ3回]でした)。ヴェニゼロス首相も少なくとも生涯に八度、暗殺未遂事件に巻き込まれています。
 懐古的な歴史ミステリではなく、当時の現実と生々しくリンクした作品です。

 ヴェニゼロス首相については、近年歴史小説の方に力を注ぐギリシャ・ミステリの重鎮アシナ・カクリ女史六歌仙No.1)が『二人のB』(2016年)で首相と国王の対立を描いています。英米志向で第一次大戦中連合国側に加わろうとする首相とドイツ皇帝と姻戚関係にあり中立を望むコンスタンディノス国王の対立は国を二つに引き裂くことになってしまいました。

 アシナ・カクリ『二人のB』
 カポン社、2016。
【右側の人物がヴェニゼロス Βενιζέλος / Venizelos。左はコンスタンディノス国王( βασιλεύς / vasilefs)。ギリシャ語 B / βの発音は[v]です。】

◆ジョン・バカン『三十九階段』のギリシャ人

 ヴェニゼロス氏はジョン・バカンのスパイ・スリラー『三十九階段』にもカロリデス首相と名を変えて登場します。首相を暗殺してバルカン地方の紛争を再発させ、オーストリア・ドイツに戦争介入のきっかけを与えようとするという陰謀があり、主人公リチャード・ハネーはこれを漏れ聞いてしまいます。1915年発表ですから、第一次大戦勃発の翌年。バカン自身も特派員として前線に赴いており、まさにリアルタイムの国際状況を反映しています。ちょうどホームズがフォン・ボルクを相手に戦いながら、風が東方から吹いてくるよ、ワトスン、などと言っていた頃ですね。
 作者は主人公ハネー氏の口を通して、「僕はなんとなくこの御仁が好きだった。……正々堂々と勝負しているらしい」とギリシャ首相への共感を語っています。現実のヴェニゼロスも英国贔屓だったのですから、これも当然の心情でしょう。
 最初はギリシャ人首相の暗殺計画を阻止すべくストーリーが始まるのですが、主人公自身が見えざる敵に追われることになり、そっちの話がメインになっていきます。「僕はホームズの柄ではない」と首相の安否は後回し(おいおい……)。後のエリック・アンブラーのようなリアルで深刻なスリラーではなく、手に汗握る冒険活劇です(ハネー氏がワクワクしながら事件に跳び込んでいくのがいい)。

◆随一のトリック派ガラノプロス『理想の探偵』

 『ホームズ、ヴェニゼロス氏を救う』のつながりで、2018年に出たばかりのギリシャ人によるホームズ・パスティーシュを一冊紹介しておきます。
ギリシャ・ミステリ界随一の本格トリック派ネオクリス・ガラノプロス『理想の探偵』です(エッセイ5回6回に登場)。ロンドンのグローサー街221番地Bに住むシャーウィン・ホッブズジョナサン・H・ウォードン博士が主役の楽しい作品。
 1902年7月、あの《犯罪王》の死から物語が始まります。ホッブズによってコモ湖で倒されたはずなのに、密かにロンドンに生還していたところを何者かに殺られてしまったようです。より強大な敵が現れるということか?
 ハマースミス区の病院で宿敵モルティマー教授の遺体を目にしたホッブズは不可解な発作を起こし、一時的に推理能力を失ってしまいます。実は14年前にも切り裂きジャック事件の惨たらしい犠牲者を前にして同じ症状に襲われていました。しかも、この殺人鬼を倒したのは何とモルティマー教授だというのです。一体どういう展開になっていくのでしょうか……

 ネオクリス・ガラノプロス『理想の探偵』
 カスタニオティス社、2018。

 2015年エディンバラのさる家で発見されたウォードン博士の手稿を、翌年オックスフォード大学のヴィクトリア朝研究者クリスチャン・メイオール卿が『知られざる事件の報告』として出版、さらにこれをギリシャ語訳したものが本書、という念の入った設定で、校訂者や訳者の注も豊富に付けられています(全部作者のことですが)。『シュロック・ホームズの冒険』『シャーロック・ホームズの災難』ユーモア篇のような笑いには決して行かず、手の込んだ偽書の形で古き都での名探偵の活躍を再現しようとする生真面目な作品になっています。
 ガラノプロスはまたディクスン・カーの信奉者でもあり、『三つの棺』、『ユダの窓』のギリシャ語訳も出しています。そこで『理想の探偵』でも、廃屋の燭台から犯行を推理するホームズ風の帰納推理に加えて、カーばりの(というか、カーが何度か使ったお気に入りの)密室トリックが飛び出し、『三つの棺』や『赤後家の殺人』風のゾクゾクする雰囲気で物語は進みます。

 カーター・ディクスン『ユダの窓』
 ネオクリス・ガラノプロス訳
 トポス社、2015。

 その気になれば入れられたのでしょうが、ギリシャ風味は封印されており、名探偵お得意の他人の心理当ての際、古代悲劇「アンティゴネ」が利用される程度です。黎明期のギリシャ王国を舞台に「ギリシャ語通訳」のポール&ソフィの生涯を描いたアポストリディス「ギリシャ語翻訳」(エッセイ4回)とは真逆です。
 しかし、こういったファン心をくすぐるオマージュ以上の新機軸が用意されています。数々の功績をあげて偉大になっていくホッブズとウォードン博士の心理の奥底に作者の筆は分け入って行きます。後半、罪と罰や社会正義をめぐってホッブズとある人物の間で交わされる迫力ある対話には、本業が弁護士である作者の信条が込められているようです。ホッブズの発作もこの辺と関わっています。アンソニー・ホロヴィッツ『モリアーティ』『四つの署名』事件がトラウマになり、故ホームズの威光に取り込まれていくアセルニー・ジョーンズ警部の気の毒な姿が印象的ですが、『理想の探偵』では、ホッブズ自身の精神にこの変調が起こります。理想の探偵のあるべき姿とは、果たして……
 さらに、コーンウォールのモルティマー家の兄弟たちと父親も重要な役割を負っています。キム・ニューマン『モリアーティ秘録』のような腹黒い三兄弟ではなく、身内に《犯罪界のナポレオン》が出ればこうなるのでは、という悲劇が描かれます。
 最後に登場人物の一人が辿る運命があまりにも切ない……

◆随一の本格派のミステリおもちゃ箱

 ガラノプロスの偽書マニアぶり、作中作好みはデビュー長編『ヨルゴス・ダルシノスの改版』(2007年)からすでに顕著です。

 ネオクリス・ガラノプロス『ヨルゴス・ダルシノスの改版』
 トポス社、2007。

 タイトルの大物ミステリ作家ダルシノスは冒頭からすでに刺殺死体で登場。弁護士本業の作者にはお手のものなのでしょう、検事調書のような細かい記録が続きます。現場の家具の配置まで詳述されていて、このまま続けばちょっときついなと思っていると、突然文体がガラリと変わり、ココシス警部補が五人の容疑者たちを集めて訊問を行なう躍動的な場面へ。ミステリ作家デビューを目指す五人はかつて出版社に投稿作品を送ったものの、採用審査担当のダルシノスに手酷く叩かれボツにされたのを恨んでいます(五人は心理派、哲学派、社会派、ノワール・ハードボイルド、歴史派という風に異なるミステリ・サブジャンルを代表しています。殺されたダルシノス自身は古典トリック・パズラー派で、最高と認める密室ミステリはやっぱり『三つの棺』)。
 故ダルシノス自身もワープロに残した遺稿の中で五人に命を狙われたと告発していますが、この原稿なるもの、日記の体裁ながら新作ミステリのようでもあり、どこまでが現実なのかわかりません。しかも合間合間に故人の短編ミステリやプロットの梗概メモが挟まれており、作品内にキラキラ光るミステリのおもちゃ箱が埋め込まれているかのようです。
 最後は期待通り、数段構えのどんでん返し。ギリシャ・ミステリ随一の本格派はデビュー作から、凝った仕掛けで読者を楽しませてくれます。

橘 孝司(たちばな たかし)
 台湾在住のギリシャ・ミステリ愛好家。この分野をもっと日本に紹介するのが念願。現代ギリシャの幻想文学・普通小説も好きです。
 何気なく始まる女性二人の会話の中にとんでもないスペクタクルが潜むイーディス・ウォートン「ローマ熱」。ジャンル分けが意味ないものに思えてしまいます。
 現代ギリシャ文学作品(ミステリも普通文学も)の表紙写真と読書メモは、以下のFacebookの「アルバム」に紹介してあります。アカウントがあれば閲覧自由ですので、覗いてみてください。
https://www.facebook.com/profile.php?id=100014275505245&sk=photos&collection_token=100014275505245%3A2305272732%3A69&set=a.233938743758641.1073741833.100014275505245&type=3
↑【イーディス・ウォートン「ローマ熱」所収】


 ヤニス・ランゴス&ヴァシリス・ダネリス編『バルカン・ノワール』
 カスタニオティス社、2018。
【ブルガリアの悪印象ばかり与えてしまったのではと心配なので、両国ミステリ界の《民間交流》の例を挙げておきます。ギリシャ人作家編集による七つのバルカン諸国の(ギリシャ語訳)短編ミステリ・アンソロジーで、ブルガリアからはエマヌエル・イコノモフ「限界超え」(大型車両展示会での殺人に仲買人《探偵》が挑むオーソドックスなフーダニット。作者は「国際推理作家協会(IACW)」ブルガリア支部長で、同時にブルガリアSF界の牽引者)、アンドレヤ・イリエフ「天使と悪魔が争うとき」(辣腕女弁護士により仕事屋にスカウトされた男の運命)、ボリャナ・ドゥコヴァ「女性風のスリラー」(恋人の戸棚には謎の鞭、死亡事件が相次ぎ、主人公女性の不安な心理描写が細やか)の三作が寄せられています。各国のミステリ略史がついており、ブルガリアで本格的なミステリ、スパイ小説が現れたのは1960年代だそう。その先駆者の一人に(懐かしや)アンドレイ・グリャシキの名前が挙げられていました。】

↑【ストイックな学究肌のブルガリア人諜報員ザーホフが西側の憎っくきスゴ腕スパイと戦うアクション娯楽作。残忍なコネリー版ボンドを敵役に脳内キャスティングして読むと楽しめます。それにしても、この大胆な翻訳タイトルには脱帽。そう、ある意味三度目です。】


↑【『三十九階段』の印象が強く、スパイ・スリラー作家とばかり思っていましたが、怪奇幻想の鉱脈を探し続ける荒俣氏のアンソロジー大作中にバカンの短編「アシュトルトの樹林」を見つけたときは新鮮な驚きでした。】




↑【最後の大どんでん返しはこれぞミステリ!の快感。レストレード警部は(やっぱり)残念な扱いでした。凶悪化した惨殺事件は『ブラック・ダリア』のよう】

↑【「ギリシャ語通訳」の兄思いの令嬢ソフィはナイフ使いの殺し屋になってしまいました。怒るとギリシャ語を吐き散らします。ビザンツ帝国軍が回教徒を撃退した新兵器《ギリシャの炎》の秘密が肝です】

 コナン・ドイル『緋色の研究』
ギリシャ語訳、エラト社、1984。
【ホームズの目つきが鋭すぎてデューク東郷に見えてしまいます】
 コナン・ドイル『四つの署名』
ギリシャ語訳、アグラ社、1983。
【シドニー・パジェットによる「白銀号事件」の挿絵ですよね。『四つの署名』の初めてのギリシャ語訳は1905年にアテネのベック&バルト社から出ています】

 アンドレアス・カルカヴィツァス『背嚢の物語』
エスティア社、1922。
【切り裂きジャックつながりで一つだけ脱線情報。19世紀後半の《新アテネ派》の代表作家アンドレアス・カルカヴィツァスに短編「ジャック」(1889年)というのがあります(死後出版の『背嚢の物語』に所収)。「英国に切り裂き魔現る」の(リアルタイム!)ニュースが遠くギリシャまで伝わり人々が恐怖に青褪める中、これを逆用して娘を早く嫁がせようとする母親を描いたユーモア作】

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