芥川龍之介は、1916〜17年と、1918〜19年の2回、鎌倉に住んでいます。大学卒業から就職、漱石の死、恋愛と結婚を挟む、おそらく彼の人生でも動きと活気のある時期だったのではないかと想像されます。既に1915年には『羅生門』を発表し、1916年は『鼻』が漱石に激賞され、作家としての階段を着々と登り始めた時期です。
ん? なぜ芥川? “翻訳ミステリー” 読書会ではないの? 今までもしばしばミステリーという範疇を越えて翻訳ものを読んできた多摩南読書会、ここに来て遂に ”翻訳” タグからも逸脱して日本文学へ暴走!? …とご心配される向きもあるかもしれませんが、いえいえ、大丈夫。 今回の課題本は、 『Xと云う患者』(デイヴィッド・ピース/黒原敏行訳/文藝春秋社)
日本在住のイギリス人著者が、芥川作品の英訳を多数引用して構成した作品です。 帯の柴田元幸氏によれば「あの文豪の生涯と作品を織りまぜて、リシャッフルし、夢見直して、12の妖しい、美しいピースに仕立てた本。それだけで十分すごいが、さらにこの日本語版は、原文の独特のリズムを緻密に再現し、等しく妖美な作品を再創造している。奇跡のような一冊。」 「奇跡のような一冊」とまで言われては、読まないわけにはまいりませんね。
芥川の原文そのままの部分あり、夏目漱石や菊池寛や谷崎潤一郎などの登場あり、更に、ポオを読んで書いた芥川を読んで書いたピースを…という部分もあって、読んでいるうちに、いつの時代だっけ、誰が書いたんだっけ、書いた人は何語を母語とする人だっけ、ここはどこ私はだれ状態となり、私のキャパではクラクラしてきます。事実と虚構と狂気との間でなんだかいろいろ幻惑されて、その幻惑がたまりません。うっとりです。
そして今回はいつもの町田を離れ、ちょっと足を伸ばしていただいて、鎌倉! これを読むのにいかにもふさわしい会場です。旧M侯爵家別邸だったこの施設は、三島由紀夫『春の雪』にも登場する大変趣のある建物で、6月末はどうかわかりませんが今は庭のバラ園のバラが咲き誇っているはず。芥川はここからほど近い由比ガ浜でも暮らしていました。 芥川作品が出てくるこの作品を、芥川の縁ある鎌倉で、芥川も眺めたかもしれない風景を眺めがら読む、というまたとない特別企画。言わば ”多摩南読書会の遠足”です 。早めに鎌倉入りしてお寺や花を巡るもよし、文学館の展示や庭を見るもよし。どうぞ読書会を出汁に遠足気分でおでかけください。或いは逆に鎌倉巡りのついでに読書会というのも、なかなか大人な楽しみではないでしょうか。 なんと、翻訳の黒原敏行さん、文藝春秋社の永嶋俊一郎さんもご参加の予定です。 ご一緒にクラクラ幻惑されましょう。
日 時 2019年6月29日(土)13時30分~15時30分
(会場受付は13時15分から)
場 所 鎌倉より徒歩20分、または江ノ電由比ケ浜駅より
徒歩7分ほどの施設
(詳細はお申込の方に別途メールにてご案内いたします)
課題書 『Xと云う患者』
(デイヴィッド・ピース/黒原敏行訳/文藝春秋社)
定 員 20名(初参加者優先枠あり)
参加費 入館料として500円
※飲み物などはつきません。(会場内で飲食出来る場所は限られていま
す。詳細はお申込の方に別途メールにて)
※読書会後の二次会は特にご用意しておりません。本会に全力参加で
お願いいたします。
お申込方法
5月27日(月)20時から申込を受け付けます。
多摩南読書会専用アドレス tamaminamidokusho@yahoo.co.jp に
メール(件名:「鎌倉X 6/29」)でお申込ください。
……………お申し込みフォーム……………
「鎌倉X 6/29」に参加します。
お名前(ご本名フルネーム)
ご連絡先電話番号
ご連絡先メールアドレス
種別:リピーター/初参加
……………………………………………………………
- *種別は該当するほうを残してください。
- *課題書は各自ご用意の上、必ず当日までに読了してご参加ください。
- *先着順で受け付け、定員に達した段階で締め切ります。
以降はキャンセル待ちを受け付けます。 - *多摩南読書会に初めて参加される方がお申し込みしやすいよう4人分の
「初参加者優先枠」を設けます。6月22日(土)までに「初参加者優先
枠」が埋まらない場合は、キャンセル待ちをされているリピーターの方
にご案内をいたします。
*多摩南読書会世話人*
片山奈緒美(ツイッターアカウント @naolynne)
青柳恭子(ツィッターアカウント @beth999ak)
大戸敦子(ツィッターアカウント @rolling_avocado)