2018年最後の多摩南読書会のご案内です。村上春樹と同じくノーベル文学賞に何度も名前があがっている作家、マーガレット・アトウッドの『侍女の物語』を読んで語りませんか。
絶望のなかに生きることは、かくも人の心を凍らせるものなのか。自由を奪われ、希望を持つことが許されない人生だけが残されたとき、どうやって日々の苦痛に耐えられるのだろう。
苦痛は体に、いや心にも、おぼろげな面影しか残さない。苦痛は一生消えない傷を人に残すけれども、その傷は深すぎて見えない。視界からも、心からも姿を消してしまうのだ。(『侍女の物語』ハヤカワepi文庫 p.229-230)
近未来のアメリカに建設された独裁国家ギレアデ。ありとあらゆる情報統制がしかれ、いたるところで最新のテクノロジーに監視されているため、人々は言葉を選び、話題を選び、声を発することすら慎重だ。
国民は与えられた役割のみをこなす毎日で、その運命は、1. 抹殺される、2. 国外へ脱出する、3. 硬い仮面を被って生き続けるのいずれかだ。そして、少子化に悩むこの国は“生産性”がある女性たちにこの第3の選択肢を与えた。すなわち「侍女」となって、子宝に恵まれない国の幹部たちの出産マシンの務めを果たす人生である。
あることをきっかけに侍女となった語り手に、幸福だった日々は二度と戻らない。最愛の夫や幼い娘と引き離され、オブフレッド(フレッドの(もの))という新しい名前を与えられ、生物学的な価値だけが認められた第二の人生。毎月繰り返される吐き気を催すような“儀式”で、与えられた期限までに司令官の子を宿せば、オブフレッドの奉公は終わる。子どもを司令官夫妻に渡し、あとは一定の生活を約束された日々を過ごすのだ。しかし、あるとき司令官との関係に小さな変化が生まれて――
絶望につつまれた陰鬱な、重いディストピア小説である。排外主義、思想統制、公開処刑、差別、憎悪、裏切り……そこには現代にも通じるあらゆるものが存在する。そして何より恐ろしいのは、アトウッドがこの小説を発表したのが1985年だということだ。オーウェルが描いた世界を超え、2018年を、いや、さらに先の時代を予知しているようで寒気を覚える。
……そんな恐ろしく、深く考えさせられる『侍女の物語』の読書会を下記の日程で開催します。みなさまのご参加をお待ちしております。
日 時 2018年12月16日(日)14~16時(会場受付は13時45分から)
場 所 JR/小田急町田駅近くの会議室
(詳細はお申込の方に別途メールにてご案内いたします)
課題書 『侍女の物語』マーガレット・アトウッド著、斎藤英治訳、
ハヤカワepi文庫
定 員 20名(初参加者優先枠あり)
参加費 一般1,000円 U-22(18~22)500円 高校生以下 無料
※飲み物などはつきません。会場に飲料の自販機あり。
※読書会後の二次会は特にご用意しておりません。
本会に全力参加でお願いいたします。
お申込方法
11月17日(土)20時から申込を受け付けます。
多摩南読書会専用アドレス tamaminamidokusho@yahoo.co.jp にメール
(件名:「多摩南読書会12/16」)でお申込ください。
……………お申し込みフォーム……………
「多摩南読書会12/16」に参加します。
お名前(ご本名フルネーム)
ご連絡先電話番号
ご連絡先メールアドレス
種別1 : 一般 / U-22
種別2:リピーター/初参加
……………………………………………………………
- *種別は該当するほうを残してください。
- *課題書は各自ご用意の上、必ず当日までに読了してご参加ください。
- *先着順で受け付け、定員に達した段階で締め切ります。
以降はキャンセル待ちを受け付けます。 - *多摩南読書会に初めて参加される方がお申し込みしやすいよう4人分の
「初参加者優先枠」を設けます。12月9日(日)までに「初参加者優先
枠」が埋まらない場合は、キャンセル待ちをされているリピーターの方
にご案内をいたします。
*多摩南読書会世話人*
片山奈緒美(ツイッターアカウント @naolynne)
青柳恭子(ツィッターアカウント @beth999ak)
大戸敦子(ツィッターアカウント @rolling_avocado)