関西翻訳ミステリー読書会主催

第4回アガサ・クリスティー読書会(at大阪)レポート 7/20

 アガサ・クリスティー読書会も四回目を迎えました。大阪の定例読書会は金曜の夜。ミステリーは好きだし、読書会も覗いてみたいけれど、夜にはちょっと出かけにくいという主婦の皆様、あるいは平日の夜では予定が取りにくいという仕事熱心なビジネスパーソンのご要望にお応えし、では休日の昼下がりに「ティールームでミステリーを」と企画したのが、クリスティー読書会です。

 世話役のYさんの奮闘で、梅田近くのお洒落なティールームで個室を借り、本格紅茶をサーブしてもらいながら本について語るという贅沢なひとときが実現。第1回目の課題書は『牧師館の殺人』。この企画は大成功、終了後もメーリングリストで原文もとりまぜさまざまな情報が飛び交いました。好評に応えてアンコール開催も。2回目は『スタイルズ荘の怪事件』を、そして3回目の『アクロイド殺し』では、大阪、神戸、京都の三都市開催を試みました。

 さて4回目の課題書……とにかく暑い。せめて気分だけでも避暑地を味わっていただこうと、『白昼の悪魔』に決定。秋には神戸の定例読書会が発足することでもありますし、今度のクリスティー読書会を0.5回にしようと、大阪、神戸での同時開催となりました。

 猛暑のなか、常連さんたち溶けちゃったのかなあ……参加表明の出足が今ひとつでした。でも、ぎりぎりまで募集をかけていたためか、新しい参加者からの申込が続き、喜ばしいかぎり。終わりよければなんとやら……です。

 大阪梅田近くのティールームに集まったのは12人(女性10名、男性2名)、うち3名が初参加。翻訳勉強中のGさん、今回も課題書は原書で挑んだそう。待望の学生さん、Tさん(男性)、福祉と教育が専攻。ミステリーには詳しくないので、参加の皆様のご指導を仰ぎ、知識や交流を深めたいとのご挨拶。この超礼儀正しさに、子供の育て方間違えたのを実感するわと、主婦仲間のため息。さらに東京からの参加者Sさん。関東の読書会をはしごされた強者。どうぞ、まったり、ぐだぐだを自認する大阪読書会ですので、お手柔らかに、以後よろしゅう。

 簡単な自己紹介と本の感想からスタート。ぎりぎりで参加できることになった(一同ほっとしました)幹事のKさんが司会。レジュメは霜月蒼さんがシンジケートのウェブサイトに連載されていたアガサ・クリスティー攻略作戦の第20回『白昼の悪魔』を拝借(ありがとうございます)。他の作品のネタバレがある反転部分は別紙にして後半に配る予定。お約束の、「前に読んでいたはずだけど、すっかり忘れちゃって二度楽しめた」という意見。はい、私もです。「初めてだけど一気に読めて、楽しめた」映画を見た人もけっこういました。「ランボーとの二本立てだったので、かすんでしまって」すごい組み合わせですねえ。「映画のほうは、女優さんの服装とフェアな作りが好印象でした」「映画は舞台が地中海で陽が燦々という印象だったけど、原作はイギリスで雰囲気が違うかな」ドラマはおおむね原作に忠実だったよう。「でもダイエットの話が出てきて今風でした」ドラマに親しんでいるせいか(熊倉節?)、翻訳の口調にとまどったという声も。Iさんが猛然と弁護。「古い翻訳だけど、ときどき出てくるべらんめえ口調が、慣れてくるとすっごく楽しい」ここで鳴海四郎さんの経歴を回覧。そうか、1976年に出たんだねと皆、納得。独特の口調を拾いあって、しばし楽しみました。「でもね、リアルとか、マジェンダとかも出てくるのよ」

「ところで麻薬の話は原作では解決されていないね。ドラマではちゃんと犯人捕まっていたよ」「リンダが自殺を図るのも、ポワロの注意不足よ。少女の繊細な心がわかっていない」本当ですね。「突っ込みどころと言えば、人物表はひどいよね」説明がホテルの滞在客だけではね。「地図もいらないね」ファッションの話題も盛り上がりました。ビーチ・パジャマって? 中国風の笠って? でもなにより鮮烈だったのは「映画でポワロが着ていた縞々の水着」!! 

 映画のトリビアでしばし脱線。「ジェーン・バーキンがよかったね。最後のシーンが印象的だったけど、原作ではないんだ」「ジェーン・バーキンの喋り、まだフランス風になってなくて、英国風だったよね」「ハリポタの先生がホテルのオーナーだったね」「アリーナ役の女優さん、ボンドガールで、唯一ボンドと結婚したんです」そういえば、ドラマでリンダが男の子になっていましたが、あの役者さん、Sherlockのパスカヴィルでヘンリーになった人ですって、神戸世話役のMさん情報。

「クリスチンのこと、頭がいいってポワロが誉めてたけど、あれは本心から言ってるのかな?」「伏線があちこちにあるので、2回目に読むのが楽しかった」「でもクリスティーは3回は読まなくては」

 別の作品のネタバレになってしまう反転部分と、全作品の星取表を配ります。クリスティー・ファンクラブのJさんが星取表にくいつきます。クリスティーの自薦8作とファンクラブが選んだベスト10と比較。「Bomb!が気になるね。ある意味って、どんな意味?」クリスティー・トリビアも。「セントルーの事件というのは『邪悪の家(エンドハウスの怪事件)』の事件で、『白昼の悪魔』の原型は、『火曜クラブ』に入っている短編だって」幹事のKさんがツイッターで教えてもらったそう。どの話かは『火曜クラブ』を読んでね。

 最後に何か言い残したことは? の問いに、「最後にロザモンドがプロポーズされるんだけど、仕事やめてくれはどうなのよ」これには皆、大きくうなずく。「もったいないよね」「きっと二年もしたら仕事に戻るよ」

 最後のサプライズをJさんが。クリスティー・ファンクラブ作成のクリスティーのミステリーマップを披露。表がイギリス地図、裏が世界地図になっています。ということで読書会はお開き。東京からの参加者を迎え、今回は二次会も用意、有志7人はビアホールへと向かいます。

 関西ミステリ読書会世話人 A・K

後編につづく

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