第六回翻訳ミステリー大賞二次投票に多くの翻訳者のみなさまから投票をいただきました。投票総数は過去最高の72名! ここであらためて御礼を申し上げます。
結果は【速報】第六回翻訳ミステリー大賞決定!にて既報ですが、本日はみなさまからの投票に添えられた「熱いおすすめコメント」の一部を紹介します。掲載にあたって編集した箇所がありますこと、ご了承ください。作品は得票数順、コメントは投票者名50音順です。
また、受賞作と最終候補作がとりあげられた「書評七福神今月の一冊」の該当月のリンクも添えました。えりすぐりの5作品を七福神はどんなふうに読んだのか。ぜひリンク先もお読みください。(写真上:大賞選考経過報告をおこなう事務局・田口俊樹/写真:© 永友啓美)
受賞作『秘密』ケイト・モートン/青木純子訳(東京創元社)
(22票)
青木悦子:戦時下のロンドンの描写、登場人物の造形、周到な伏線、あっと驚くラスト、読後感のよさ。そして何をおいても、人生を生ききった女性の強さに胸が熱くなりました。
安達眞弓:時間と人間関係が交差する“モートン節”を堪能しました。
飯干京子:他にもこれはと思っていたものがあったのですが、第三回のときと同じく、最後にこの作品を読んだら「これしかない」になってしまいました。読み心地の良さ、言葉の豊かさ、広がっていく感じ、沁みこんでくる感じ、深く残って離れない感じ。うーん、うまく表現できませんが、本好きの大人を本好きの子どもにもどすような、物語の魔法が全編にかかっている感じ、でしょうか。
井野上悦子:アレックスもマギーもよかったけど、やはり小説としての完成度は一番かと……。
小田川佳子:どれも面白かったが、ミステリとしてこれが良かった。
島村浩子:ことしは悩みました!
高橋知子:層をなす秘密や、切なくも温かい結末に惹かれました。
髙橋まり子:上下巻の長編でしたが、一気に最後まで読んでしまいました。どぎつさがなく、優しさと温かみのあるストーリーとノスタルジックな雰囲気に強く引きこまれました。自分の子どもにも読ませたいと思えるような作品だと思います。
橘明美:母の秘密もさることながら、語り手の心の動きもよくわかるように書かれていて、そこがまた魅力の一つです。
冨田ひろみ:迷った挙句、読後の爽快感の強さで決めました。
服部京子:一作品のなかに好きなものが全部はいっていました。
吉野山早苗:候補作は5作ともたいへんおもしろく、どれに投票するか、迷いに迷いました。「いくつかのエピソードが現在と過去を行ききしながら語られ、やがて真相に……」という設定が大好きだということと、最終章のジミーのエピソードが哀しくて爽やかで、心にぐっときたということで投票します。
【左:事務局・田口俊樹より青木純子さんへの賞状授与/撮影:© 永友啓美】【右:賞状,トロフィー,副賞/撮影:事務局)】
■『秘密』→2014-01-09 書評七福神の十二月度ベスト発表!
候補作『もう年はとれない』ダニエル・フリードマン/野口百合子訳(創元推理文庫)
(20票)
青木純子:こういう無茶な老人にわたしもなりたい。
門脇弘典:クセのあるじいさまと孫のコンビが魅力的です。
上條ひろみ:自虐老人ネタがキュートな87歳、バック・シャッツからいろんな意味で目が離せません。超後期高齢者の探偵は高齢化社会の星!
北田絵里子:『秘密』とかなり迷いましたが、乙女心に乏しい私はやはり、痛快毒舌ジジイに一票を。
栗木さつき:上質のユーモアとペーソス。じいさんハードボイルドに快哉を叫んだ。奥さんのローズとの関係もいいんだなあ。
小林さゆり:バック・シャッツがとにかくかっこいい! こういうお年寄りになりたいです。
佐藤桂:主人公が87歳というインパクトに加え、続編があるらしいというのがまた驚き。
白石朗:続刊が待ち遠しいシリーズがひとつ増えました。これ、日本に舞台を置き換えて映像化するとしたら、シャッツじいちゃんと孫息子はだれがはまり役でしょうか。
高橋恭美子:口の減らない憎たらしいジジィなのになぜか愛しい。バック・シャッツ、Love♥
日暮美月:読んでいて実におもしろかったですし、近頃活躍するお年寄りが注目されていますので、タイムリーだと思います。
不二淑子:『その女アレックス』と最後まで迷いましたが、我らが愛すべきバック・シャッツが、さらに年をとってくれることを願って、この作品に投票します。
三角和代:往年のハードボイルドの味わいと今っぽさが同居する語り口、読後感のよさは幅広い層の読者に薦めやすい。アレックスの次にどの翻訳ミステリを読もうか考えている新規読者に、チャーミングな主人公バック・シャッツを強く推したい。
森嶋マリ:できることなら、この作品と『秘密』の両方に投票したかった。超高齢者ハードボイルドという新ジャンルに期待をこめて、今回はこちらに一票。
矢野真弓:5作品とも読み応えがあり、とてもおもしろかったです。それぞれに個性があってひとつ選ぶのは難しく、最後は好みで決めました。
■『もう年はとれない』→2014-09-11 書評七福神の八月度ベスト発表!
いかがでしたか。次回は以下の三作へのコメントを紹介いたします。
●第一回大賞受賞作
●第二回大賞受賞作
●第三回大賞受賞作
●第四回大賞受賞作
●第五回大賞受賞作
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