訊かれて困る質問のひとつに、「課題書ってどうやって決めてるんですか?」というのがありまして。
まあ世話人の脳内にはいろいろな基準があるんですが、独自基準なもので人さまに説明するには一からはじめて2時間くらいかかるわけです。
そこで最近では「心が震えたとき、さ」と懐かしい台詞をつぶやいてお茶を濁したりしています。
さて、今回の課題書は、ヘレン・マクロイ『歌うダイアモンド』です。
これがどんなにすばらしい短篇集かは、2時間かけずとも、作家にしてマクロイの前夫、ブレット・ハリデイにひとこと代弁してもらえばある程度伝わるかと思います。
どの物語の最後にも、疑問符とぞっとするような身震いがある。これらの短篇が一冊の本に収められているのは、それが一つのカテゴリーに収まるからではなく(中略)独自のスタイルと思考法をもつ一人の作家ならではの創作物だからなのだ。そのすべてに不気味な要素がある。(『歌うダイアモンド』収録、ブレット・ハリデイ「まえがき」より)
この「まえがき」からはじまって、美しい…としかいいようのない「東洋趣味(シノワズリ)」、禁断の味の「Q通り十番地」、ノスタルジックな「八月の黄昏に」、いかにもマクロイらしい不気味さ全開の「カーテンの向こう側」、これまたマクロイらしいワン・アイデア炸裂の「ところかわれば」、長篇の原型ともなった「鏡もて見るごとく」、大風呂敷の「歌うダイアモンド」、静謐な印象を残す「風のない場所」に、最後までしっかり謎解きの楽しめる中篇「人生はいつも残酷」、さらには「不安の詩神(ミューズ)」と題された千街晶之氏の解説がまたすばらしいという、隅から隅までハズレなし、最初から最後まで楽しめる一冊なのです。
2003年刊行の晶文社版が長らく入手難だったところ、この2月に創元推理文庫から再刊されました。
参加資格は課題書を読了していること。そして今回はみなさまの「本書中のマイベスト2篇」と「好きになれなかった1篇」をお尋ねするところから会をはじめたいと思います。
そうそう、もうひとつふたつ大事なことを。
おかげさまで千葉読書会も2桁の大台に乗りました。第10回を記念しまして、今回は本会参加費を半額(学生は無料)といたします。
さらに……ええと、まだ詳しくは申せませんが、マクロイ・ファン、とくにベイジル・ウィリングのファンのかたにはうれしい企画(…たぶん)を準備中です。
みなさまのご参加をお待ちしています。
日 時: 6月27日(土)15:50〜17:50(二次会別途予定)
場 所: JR千葉駅より徒歩10分程度
(詳細は参加申込者に直接ご連絡します)
課題書:『歌うダイアモンド』
ヘレン・マクロイ著、好野理恵ほか・訳(創元推理文庫)
定 員: 20名(幹事・ゲスト除く)
参加費: 一般 500円、学生 無料
※二次会につきましては参加費別途です。
☆ お申し込み方法
千葉読書会専用アカウント chiba.honmys@gmail.com にメールでお申し込みください。
件名に「6/27読書会」、メール本文に以下の定型をコピー&ペーストのうえ必要事項をご記入ください。
お名前(ご本名フルネーム):
ご連絡先電話番号(半角、ハイフンで区切ってご記入ください):
区分(該当しないものを消してください): 一般/学生/未成年
二次会への参加を希望:します/しません
☆ 課題書は各自ご用意のうえ、当日までにお読みください。
☆ 先着順で受けつけ、定員に達しましたら締切といたします。
☆ ご不明な点は chiba.honmys@gmail.com までお問い合わせください。