課題書『ジャック・グラス伝』をお訳しの内田昌之さんにご参加いただけることになりました。本書翻訳にまつわるあれこれをお話しいただけるかも?! (10月29日追記)
世のなかは選挙一色ですねえ。いや、それにしてもあちこち納得のいかないことばかり。やれやれ、もう宇宙へ逃げたいよ……と、手に取った本書もしかし、“あきらめず抵抗する”物語でもあったのでした。
冒頭の「ワトスン役」の語り手によれば、本書は「つながりのある三篇の殺人ミステリ」です。そのうちの「ひとつは監獄の物語」、「ひとつは通常の犯人探し」、「ひとつは密室ミステリ」。ただし、三部構成ではあってもこの順番でならんでいるとはかぎらないうえ、それぞれの話が三つすべてに該当する可能性も示唆されます。
さらに、殺人者の名前も早々に明かされます――「言うまでもなく、ジャック・グラスその人です」と。
そして舞台は遠い未来の宇宙。
第一部は、十一年の刑期で島流しになった囚人七人が、『火星の人』よりさらに過酷な状況でジャガイモならぬ“ガンク”(主食となる植物)を育てるところからからはじまります。
これはもちろん「監獄」だな、しかし「フーダニット」や「密室」も当てはまるのかな? などと思いながら読み進めるうち、だんだん雲ゆきがアヤシくなり……第一部はちょっと忘れられないかたちで幕をとじます。
つづく第二部は、もうすぐ十六歳になるミステリマニアの富豪令嬢の話。世界はおなじでも、第一部の犯罪者たちとはずいぶん階層のちがう上流の能天気なお嬢さまダイアナが現実のミステリを解決すべくはりきるお話かと思いきや、やはりだんだん雲ゆきが……。そして第三部でどんなふうに収束するのか。あとは読んでのお楽しみ。
著者の謝辞によれば、「本書は“黄金期”のSF小説と“黄金期”の推理小説を合体させてみたいという強い衝動から生まれたものだが、前者よりも後者のほうに重点が置かれている。」とのこと。さらに、「本書に明白な影響をあたえている作家たち」として、マージェリー・アリンガム、ナイオ・マーシュ、ドロシイ・L・セイヤーズ、マイケル・イネスの名前が挙げられています。
SFの叢書だし… ちょっと厚いし… なんてしり込みして読み逃すのは惜しい逸品です。この機会にぜひ。
場 所:JR千葉駅より徒歩10分程度の会場
(詳細はお申込みへの返信でご案内します)
課題書:『ジャック・グラス伝 ―宇宙的殺人者―』
アダム・ロバーツ著、内田昌之訳(早川書房)
定 員:20名(幹事・ゲスト除く)
参加費:一般 500円、学生無料
※二次会につきましては参加費別途です
千葉読書会専用アカウント chiba.honmys@gmail.com にメールでお申し込みください。
件名に「11/11読書会」、メール本文に以下の定型をコピー&ペーストのうえ必要事項をご記入ください。
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