1月22日(金)に、第1回京都読書会を開催いたしました。

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 過去、京都でも読書会が開催されたことはありますが、定期開催とまでは至らず、今回改めて「第1回」京都読書会ということでリブートいたしました。

 課題書はエラリイ・クイーンの『九尾の猫』。

 後期クイーンを代表する傑作を越前敏弥さんの新訳で読みました。

 ゲストには本書の翻訳者の越前敏弥さんをお迎えしました。

「猫」と呼ばれる連続殺人犯がニューヨークを跳梁。『十日間の不思議』事件でスランプにおちいっていたエラリーが、父の叱咤により、捜査に乗り出す決意をする。

 被害者たちにはどんな隠された結びつきがあるのか? なぜ既婚女性は狙われないのか? なぜ被害者たちの年齢がだんだん若くなっていくのか? これらの謎が明らかにされ、最後には衝撃の結末が……という内容です。

 さて、京都読書会をリブートするに際して、いったいどういう方が来てくださるのか(そもそも人が集まるのか)と、心配していましたが、読書会開催の告知後まもなく定員の20名が埋まり、まずは一安心。

 読書会当日は大寒波が襲来し、さらにJRが事故で動かず直前まで人が揃わずドキドキしました(最終的には20名全員が揃いました)。

 参加者のうち5〜6名の方が読書会初参加ということで、読者の裾野を広げるという意味でもとてもうれしいことでした。

 滋賀や大阪、神戸、名古屋など各地から参加していただきました。

 また「クイーンを読むのは初めて」という方も多数おり、課題書に取り上げた甲斐があったというものです。

 創立60周年を迎えた老舗ミステリーファンクラブSRの会からも谷口会長を含む2名が参加してくださいました(ご存知の通りSRの会は京都で誕生しました)。

 さて、みなさんの感想をネタバレにならない程度に下記に列挙します。

 私の浅い読みとは違って、みなさんかなり深読みされており、「ミステリはこういうふうに読むのか」と大変勉強になりました。

・原書タイトルは“Cat of Many Tails”(たくさんの尻尾をもつ猫)であり『“九尾”の猫』ではないが、作中で殺害された人数が9人という点と中国神話の生物の「九尾」を合わせた素晴らしい邦題である。

・登場人物表は果たして必要なのか。

→登場人物があまりにも少ないため、犯人が限定されてしまうという問題が指摘されました。

 登場人物表のうち半分が被害者(!)で、残りのうちエラリーと父親、部長刑事を除くと……、となってしまいます。

 犯人の意外性を楽しむ作品ではないのかもしれませんが、その点を指摘する参加者の方が多かったです。

・エラリーが犯人を特定した時点で残りのページがまだ結構あるので「たぶんここからさらに一ひねりあるな」と思ってしまった。

・殺された人も殺した人も影が薄い。動機が見えない。

→これに対しては作者の意図だったのではないかという意見がありました。

 ニューヨークという大都市での大量殺人、動機の見えない殺人、という現代にも通じるテーマを描きたかったのではないか。今読んでもまったく古さを感じないという意見もたくさんいただきました。

 その他にも

・クイーンにしてはスマートな解決じゃない

・そもそもあの犯人にこんな殺人ができるのか

・なぜ「あのこと」を警察は確認しなかったのか

 といったような意見がありました。

 ツッコミどころは満載ですが、それにしてもクイーン史上最大ともいえる壮大なスケールの作品だということは間違いありません。

 スマートな謎解きをするクイーン作品もよいですが、これもまたよし、ということで第1回京都読書会は幕を閉じました。

 次回は4月あたりの開催になると思います。

 関西には大阪、神戸という読書会がありますので、京都読書会ならではの色をどのようにして出していくのかいろいろと考えております。

 ではまた次回みなさんお会いしましょう。

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