第十二回翻訳ミステリー大賞の本投票には、多くの翻訳者のみなさまから投票をいただきました。投票総数は40名。ここであらためて、そのおひとりおひとりに御礼申し上げます。
4月25日掲載の【速報】第十二回翻訳ミステリー大賞決定!につづき、きょうとあしたは投票に添えられた「熱いおすすめコメント」を二回にわけてご紹介します。
作品は得票数順、投票者のお名前は投票メール到着順(敬称略)です。お名前のうしろの書名は投票時にご記入いただいた投票者ご本人の代表訳書です。コメントなしで投票した方は、お名前と代表訳書のみ挙げさせていただきました。
また、受賞作と最終候補作がとりあげられた「書評七福神今月の一冊」の該当月のリンクも添えました。えりすぐりの5作品を七福神はどんなふうに読んだのか。ぜひリンク先もお読みください。
受賞作『指差す標識の事例』イーアン・ペアーズ/池央耿・東江一紀・宮脇孝雄・日暮雅通(東京創元社)
(11票)
大須賀典子(『大富豪になる人の小さな習慣術』):待ちに待った出版、故・東江一紀を含め、そうそうたるメンツによる競演翻訳、重厚かつ緻密な構成。 どの点をとっても「翻訳ミステリー大賞」の名にふさわしい作品かと。
東野さやか(『隠れ家の女』)
黒木章人(『フェルメールと天才科学者』):“『薔薇の名前』とアガサ・クリスティの名作の融合”どおりの大大満足!おまけに同時代の、 まさしく王立協会を舞台のひとつにする作品を訳したことがあるので、懐かしい面々のオンパレードでした。
高野優(『ルーフォック・オルメスの冒険』)
栗原百代(『リヴァトン館』):翻訳ミステリー界の大御所たちの豪華カルテット。凝りに凝った構成も堪能しました。
加藤かおり(『念入りに殺された男』)
稲垣みどり(『ボブが遺してくれた最高のギフト』)
鈴木恵(『第八の探偵』):信頼できない語り手が次々に登場する物語の面白さも一級品ですが、 それを翻訳なさった信頼できる翻訳家の技も超一流です。
岩瀬徳子(『最悪の館』)
服部京子(『ミラクル・クリーク』)
満園真木(『さよなら、シリアルキラー』)
■『指差す標識の事例』→2020-09-10 書評七福神の八月度ベスト!
候補作『ザリガニの鳴くところ』ディーリア・オーエンズ /友廣純(早川書房)
(9票)
山口かおり(『アート・オブ・フラ』)
田口俊樹(『ランナウェイ』):寄る年波で、可哀そうな子供が出てくるとただそれだけで弱い。ミステリーとしてはもうひとひねりしてほしかった。 この二点を差っ引いてもやはりこれですね。人間という生きものが改めて好きになれる、いい小説です。
稲村文吾(『元年春之祭』)
越前敏弥(『十日間の不思議』)
堀川志野舞(『ロックダウン』):繊細で大胆、逞しく儚い主人公がとびきり魅力的。人間のあからさまな悪意よりも、ひそやかな優しさが心に残った。
川添節子(『天体観測に魅せられた人たち』)
三角和代(『死者はよみがえる』)
井野上悦子(『コマドリの賭け』):自然描写の繊細さ、ヒロインの哀しさ、たくましさ。 候補作はどれも秀作ですが、やはり、一番心に残ったのは本作でした。
吉野山早苗(『お嬢さま学校にはふさわしくない死体』):“ザリガニの鳴くところ”の意味がすてきすぎた。そして、がちのフーダニット。真相がわかって、書いてあることすべてが腑に落ちました。 『ストーンサークルの殺人』、続編を愉しみにしています。
■『ザリガニの鳴くところ』→2020-04-09 書評七福神の三月度ベスト!
あしたは以下の三作へのコメントを紹介いたします。
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・2021.4.25【速報】第十二回翻訳ミステリー大賞決定!
・2021.4.19 第十二回翻訳ミステリー大賞・本投票御礼&結果発表について
・2021.4.17【再再掲】第十二回翻訳ミステリー大賞・本投票のご案内
・2021.4.8【再掲】第十二回翻訳ミステリー大賞・本投票のご案内
・2021.3.12 第十二回翻訳ミステリー大賞・本投票のご案内
・2021.2.14 第十二回翻訳ミステリー大賞予備投票結果全公開(その3)
・2021.2.13 第十二回翻訳ミステリー大賞予備投票結果全公開(その2)
・2021.2.12 第十二回翻訳ミステリー大賞予備投票結果全公開(その1)
・2021.2.5 第十二回翻訳ミステリー大賞・予選委員会経過報告
・2021.2.2 第十二回翻訳ミステリー大賞候補作決定!
・2021.1.5【再掲】第十二回翻訳ミステリー大賞予備投票のご案内&投票御礼(1.7追記)
・ 2020.12.08 第十二回翻訳ミステリー大賞予備投票のご案内