第3回名古屋読書会「ル・カレ気分でロックンロール」のご案内

 翻訳ミステリー大賞コンベンション、盛況だったようで何よりです。私も行きたくて行きたくてしかたなかったんですが仕事が終わらず、泣く泣く諦めました。せめてもの代わりにと名古屋の金しゃちビールを差し入れましたが、来年はビールではなく私自身が現地に行こうと……ビールの方がいいですかそうですか。

 名古屋読書会を代表してコンベンションには共同幹事の加藤さんが出席したわけですが、彼は実は重大な任務を背負っていました。二人で相談して決めた幾つかの読書会課題図書候補のうち、関係者をゲストに呼べそうなものがあれば、交渉して話をまとめ、課題図書も決定するという全権を委任されていたのです。

 しかし加藤さんには、野望がありました。大矢はいつも自分好みのコージーだの3Fだのを押してくる。でも俺はノワールとかハードボイルドとか、男っぽいのが好きなんだ。二人の間には高くて厚い壁がある。そう、まるでベルリンの壁のように。全権を任された今、俺は男ミステリを選んで壁を壊すぜ! ……ベルリンの壁? 課題図書を、選ぶ?

 そのとき、どこからか聞こえてきたあの懐かしのメロディ……。

 ♪ル・カレ〜、ル・カレ〜、みーんなで選ぶ〜

 ♪ル・カレ〜、ル・カレ〜、みーんなのル・カレ〜〜〜〜〜

 それは天啓でした。加藤さんは走りました。ベルリンの壁と言えば課題図書はあれしかない。いやカレしかない。みーんなのル・カレ〜♪ そういえばちょうどシリーズ作品が映画化されるじゃないか。タイミングとしてはこの上ないぞ。……コンベンション会場内をスパイさながらに暗躍し、ゲスト招致も成功したときの彼のルカレっぷりが目に浮かぶようです。「自分の趣味を押し通したわね!」と私がいくら僻んでも、それは所詮ルカレ者の小唄。加藤さん、本当におルカレ様でした。

 ということで今回の課題図書は、ジョン・ル・カレ『寒い国から帰ってきたスパイ』だ!

 今月公開される映画『裏切りのサーカス』(原題は『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』)のジョージ・スマイリーも登場する、ル・カレの名を全世界に知らしめた傑作スパイ小説。

 ゲストは翻訳家の加賀山卓朗さん! ル・カレ作品の訳書がある他、パーカーのスペンサーシリーズ、デニス・ルヘイン(『シャッター・アイランド』とか!)、クロフツ『クロイドン発12時30分』など幅広くご活躍ですので、いろいろお話を伺うのが楽しみです。

 「あたくしスパイ物なんてあんまり……」という名古屋の奥様お嬢様がた、大丈夫ですよ。スパイと言われて想像するような、007的な話ではありません。スパイの悲哀を描いた、とても入りやすい物語です。男のすすけた背中に哀しみが滲むのです。古い作品ですが、そうとは思えないくらい翻訳も読みやすい。いっそこれを機会にエスピオナージュに初挑戦しちゃいましょう。大丈夫、むしろスパイ小説は女性にこそ向いているのです。だって言うじゃありませんか、妊婦はスッパイ物が好きって。そうだ妊婦は無料にしよう!

 なお、今回は会場の都合でいつもより定員が少なめです。お早めの表明をお勧めします。

 ……二次会は、やっぱりカレーかしらね?

日時:5月26日(土)15:00〜17:30

    (読書会後は打ち上げを予定しています)

場所:名駅近くのレンタル会議室

課題作品:『寒い国から帰ってきたスパイ』(ハヤカワ文庫NV)ジョン・ル・カレ著/宇野利泰訳

定員:20名(幹事・ゲスト込み)

   2グループに別れてのグループディスカッション方式をとります。

幹事:大矢博子・加藤篁

参加費:会場代+経費として一人1000円 大学生半額・中高生と妊婦さんは無料

◎申し込み方法

 名古屋読書会専用アカウント cozymystery@nifty.com にメールでお申し込み下さい。件名に【読書会5/26】、メール本文にお名前とご連絡先電話番号(携帯電話も可)をお書き下さい。

◎課題作品は各自ご購入の上、当日までにお読み下さい。

◎定員に達しましたら、応募受付を締め切らせていただきます。

◎ご不明な点は上記の cozymystery@nifty.com までお問い合わせ下さい。

ミステリ試写室「裏切りのサーカス」の記事はこちら

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