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 このレポを書くにあたり、各地方読書会の皆さんから「45名という人数をどうやって捌くのか」という質問を複数頂戴したので、ここからは手順をちょっと紹介。なので今回はギャグはありません真面目に書きます。

 受付開始40分前に、会場となる会議室に準備のため入室。設営の手伝いを募集したら15名くらい集まってくれた。経理担当I嬢・受付担当S嬢の指示のもと、全員で机をつり(名古屋弁)、3つの島ができる。ホワイトボードとパーティションも配置完了。唸るキャスター、飛び交う指示、一服する大矢。

 各机にレジュメ及び参考資料(霜月蒼氏によるフランシス攻略ガイド・北海道世話人ゆっち嬢持参の新聞記事・フランシスファンの参加者神尾氏による『度胸』覚え書き・新刊チラシなど)と名札が配られる。同時進行でその場にいる人から会費を順次徴収。二次会参加者は二次会の分も同時に徴収。個人事業主には命の次に大事な領収書の発行も。響く電卓、飛び交う札束、一服する大矢。

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 レジュメ群と領収書(読書会印付き)。メインレジュメの裏表紙には人気投票の結果掲載。

 その間、レジュメ担当幹事K氏と宴会担当幹事T嬢がゲストを迎えにホテルへ。続々集まる参加者を順次受け付け。チーム分けは男女比や読書会参加歴を勘案して経理担当I嬢があらかじめ決めてある。「あたしのチームに若い男が少ない」という大矢の文句を「知ったことか」と一蹴するI嬢。馬情報担当幹事C嬢は持参の馬具を室内に展示。しなる鞭、飛び交う点呼、一服する大矢。

 10分前にはほぼすべての準備が終り、満を持してゲストも到着。北上次郎・田口俊樹・加賀山卓朗・鈴木恵・蓮見恭子・そして文藝春秋社の翻訳ミステリ担当編集者・永嶋俊一郎(以上敬称略)という錚々たる顔ぶれに、どよめく会場、飛び交う歓声、さすがに一服してる場合じゃない大矢。ここまでで分かったこと。各スタッフがしっかりしてれば、総合幹事は何もしないでも準備は進む。

 いよいよ読書会開始。15名ずつの3チームそれぞれに別れて自由に感想を言い合います。幹事団から司会者を出し、板書係も配置。いつもなら後半に各班の意見を付き合わせるので、それを踏まえて私がレポを書く訳ですが、今回は後述する理由によりその突き合わせが割愛されたため、ホワイトボードの写真を見ながら出た意見(ネタバレ除く)を羅列すると──

 まず物語について:

「競馬小説っていうから敬遠してたけど、家族がテーマでびっくりした」「思ったより競馬競馬してない」「主役と悪役の対比が見事」(←3班全部で出てた)「暴力シーンでの痛みの描写がリアル」「今読むとシンプル過ぎる」「捻りがない」「それはその後の捻りまくった作品をいっぱい読んでるからで、60年代はこんなもの」「昭和のエンタメって感じ」「最後が陰湿」「え、この最後がかっこいいんじゃ?」(←この議論も各班で出た)「ミステリというより社会病理を扱ったモダンホラーみたい」「だから今読んでも古さを感じないのかも」

 キャラクターについて:

「折れない主人公がいい」「どの作品も主人公のキャラ一緒だけどね」「ていうかなんで全部自分でやろうとするの? 警察とかお偉いさんに委ねればいいのに」「それ言い出すと冒険小説は成り立たない」「ジョアンナがいい!」「えー、こんなデキた女いねーよ」「男のドリーム入りまくりじゃん」「いやこの時代にしては女性の描き方がフェア」「実は奥さんが書いてたっていう話もあって」「だからあんまりマッチョな感じがしないのかな」「『利腕』のシッド・ハレーの元嫁の描写がリアルですごいのよ」

 もちろん些末につっこむ名古屋読書会の神髄は今回も健在。

「戦車運搬車って道端に普通に停まってるもんなのか」「なんでスエター?」「それが菊池光ですよ」「文体が男性的で端正」「えー、ちょっと読みにくかった」「改行の場所が独特でかっこいい」「どんな大けがでもアスピリン飲んで風呂入れば治るって何なの」「風呂兼台所ってどんな部屋?」「風呂といえばなぜトルコ風呂なのか。蒸し風呂と書けばいいのに、要らん想像をしてしまうじゃないか」「てかディック・フランシスってマゾだよね」「ビーフジュースってのはカレに出てきたビーフティですか」「やっぱり不味そう」

 以上、ホワイトボードから拾ったので、実はもっと面白いやりとりがあったのかもしれないけどフォローできておりませぬ。ちなみの私の班は、ディック・フランシスは初めてという人の率が高かったので、もうちょっと私が誘導してもよかったのかなーと反省。でもその分、ゲストから示唆に富んだお話をいろいろ伺えました。他の班でも、そのゲストさんならではのお話がいろいろあった模様。

 ということで1時間のグループディスカッションを終え、後半はスペシャル企画ですよ!(後編に続く)

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