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 本日午前中につづいて第六回翻訳ミステリー大賞二次投票に翻訳者のみなさまが投票メールに添えたコメントの一部を紹介します(前篇はこちら)。

 なお、掲載にあたって編集した箇所がありますこと、ご了承ください。作品は得票数順、コメントは投票者名50音順です。

 また、受賞作と最終候補作がとりあげられた「書評七福神今月の一冊」の該当月のリンクも添えました。えりすぐりの5作品を読み巧者の七福神はどんなふうに読んだのか。ぜひリンク先もお読みください。

(写真:大賞二次投票の公開開票式風景/撮影:事務局)

 候補作『容疑者』ロバート・クレイス/高橋恭美子(創元推理文庫)

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加藤洋子:マギーに主演女優賞をあげたい。アレックスにも強く惹かれましたが、最後まで共感できませんでした。

鎌田三平:『その女アレックス』と最後まで悩んだ末に、犬とか少女とか反則だよなと思いながらも読後感のいいほうに入れました。作者の術中にはまっていることは承知の上で。

黒木章人:プロローグだけでもう涙があふれてきたのに、心に傷を抱えたバディ同士という設定でまた涙。厳しいリーランドが時折見せる優しさにもまたまた涙……犬を飼いたくなりました!

鈴木恵:とりたてて犬好きでもないのに、大きな犬をワシワシとなでる夢を見ました。作品と訳者の力のなせる業かと思います。

芹澤恵:犬視点のパートにキュン死しました。日ごろあまりミステリーを読まない人でも、犬好き、動物好きならきっと気に入ってもらえるはず。

田口俊樹:しかたのないことですが、歳を取ると凡人は普通、体力が衰えます。そして、その体力には後味があまりよくないミステリーに耐える体力というのも含まれます。ということで、読後感がコカ・コーラみたいにスカッとさわやかな本作に一票。

永田千奈:犬の描写がすばらしい。だからこそ、犬によって救われていく主人公の気持ちがリアルに伝わってくる。大好きな作品です。

東野さやか:クレイスらしさを堪能しました。ふだんミステリを読まない人にも安心して勧められる一冊。

菱山美穂:作品の根底に凛としたものがあり、読後感が良い。

満園真木:犬視点の語りにとにかく泣かされました。猫派の私ですが、思わず犬を飼いたくなりました。

横山啓明:一番心に残った作品です。

 候補作『その女アレックス』ピエール・ルメートル/橘明美訳(文春文庫)

20130416191138.jpg20130416191139.jpg(11票)

青木創:ミステリとしての完成度はともかく、衝撃度は群を抜いており、翻訳ミステリーならではの魅力に富んだ作品だと思います。

門野集:読後、時間がたってからじわじわと味わいが増してきました。

栗原百代:万華鏡のごとき作品世界の魅力で、あまたの新しい翻訳ミステリー読者を獲得したその偉大な功績に。

中川潤一郎:全候補作を熟読吟味しましたが、やはりこれしかないですね。

鶸田裕子:他の4作品もどれも面白かったけれど、「大賞」はどれかと考えたらやっぱりこの作品になってしまった。もう各種タイトルを受賞しているから、不本意なんだけど、でもやっぱりなあ。ちなみに自分のなかでの次点は『容疑者』。

藤田伊織:題名が良かった。

堀川志野舞:最後の判事の台詞に集約される作品だと思います。展開も衝撃的でしたが、それ以上に登場人物それぞれの持つ意外な一面に驚き、魅了されました。

■『その女アレックス』→2014-10-14 書評七福神の九月度ベスト発表!

 候補作『ゴーストマン/時限紙幣』ロジャー・ホッブズ/田口俊樹訳(文藝春秋)

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加藤万里子:相変わらず最高にかっこいい田口俊樹氏の訳を堪能しました。文句なしの今年一番の傑作です。

高里ひろ:犯罪者の世界を描くことだけに潔く徹してこのおもしろさ。若い著者の才能に舌を巻きました。この乾いた語り口、このドライブ感。とにかくかっこいい、としびれました。映画化も決まっているそうでたのしみですが、小説のおもしろさにはかなわないんじゃないかなという気がします。

対馬妙:いずれおとらぬ名作揃いで最後まで悩みましたが、疾走感重視で選びました。

南沢篤花:騙し騙され、意外性のあるストーリー、淡々としているのに、スピード感のある筆致が素晴らしい。

■『ゴーストマン/時限紙幣』→2014-09-11 書評七福神の八月度ベスト発表!

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(左:当日の会場「大田区産業プラザPiO」外観 右:館内案内モニター・撮影:事務局)

【二次投票者・全72名、五十音順、敬称略】

《ア行》阿尾正子、青木悦子、青木純子、青木創、安達眞弓、飯干京子、稲垣みどり、井野上悦子、越前敏弥、大野晶子、小田川佳子

《カ行》加賀山卓朗、柿沼瑛子、片山奈緒美、加藤万里子、加藤洋子、門野集、門脇弘典、鎌田三平、上條ひろみ、川添節子、喜須美理子、北田絵里子、木下晋也、国弘喜美代、熊井ひろ美、栗木さつき、栗原百代、黒木章人、黒輪篤嗣、小林さゆり

《サ行》佐藤桂、島村浩子、白石朗、鈴木恵、芹澤恵、匝瑳玲子

《タ行》高里ひろ、高橋佳奈子、高橋恭美子、高橋知子、髙橋まり子、高山真由美、田口俊樹、橘明美、田中文、対馬妙、辻早苗、冨田ひろみ

《ナ行》中川潤一郎、中谷友紀子、永田千奈、成川裕子、ニキ リンコ

《ハ行》服部京子、東野さやか、日暮美月、菱山美穂、鶸田裕子、不二淑子、藤田伊織、舩山睦美、堀川志野舞

《マ行》三角和代、満園真木、南沢篤花、武藤崇恵、森嶋マリ

《ヤ行》矢野真弓、山岸真、横山啓明、吉野山早苗

●第六回翻訳ミステリー大賞:投票者コメントのご紹介(前篇)作品

●第一回大賞受賞作

●第二回大賞受賞作

●第三回大賞受賞作

●第四回大賞受賞作

●第五回大賞受賞作

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