期せずしてシンジケート関連のイベントが全国各地で賑やかに展開された11月の最後の日、〈翻訳ミステリーお料理の会〉も第1回の調理実習を行いました。

何しろ初めてのこと、世話人一同、ない知恵を絞ってあれこれ段取りをしたつもりですが、もろもろ不安は募ります。そこに強力な助っ人が! 今回のテーマに選んだ『チョコチップ・クッキーは見ていた』の版元であるヴィレッジブックス編集部のAさん、このハンナ・シリーズ編集担当のYさんが応援にいらしてくださいました。しかも、シリーズの既刊を網羅した豪華カラーのリーフレットを作成してくださるというサーヴィスまで。最新刊の『デビルズフードケーキが真似している』まで含めると、既刊は14作。シリーズの人気ぶりがうかがえます。これはさっそく、当日お渡しする“お土産”のひとつとさせていただきました。

配付する資料やら調理に使う器具やら材料やらを準備しているうちに、参加者のみなさまも集まりはじめ、くじびきで各調理台に分かれ、身支度を整えていただき、スタンバイOK。本日の講師であり同シリーズの翻訳者でもある上條ひろみさんから、簡単に手順を説明していただいて、いよいよ実習スタートです。

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今回のお土産:宮崎裕子さん作のこんな可愛いレシピカード。立てて使えます!

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なかには“でっかいくん”ことモシェもいます!

本日、つくりますのは、ハンナ特製“チョコチップ・クランチ・クッキー”。クランチのさくさくした歯触りを演出するのは、コーンフレークとのこと。必要な材料を計量し、温めるべきものを温め、かきまぜるものをかきまぜ、入れるべきものを入れ……講師の上條先生をはじめ、手慣れた方なら、あっという間の工程ですが、そのつど、解説を挟みつつ、ゆっくり丁寧に作業を進め、ほどなくクッキーの種が完成。

今度はその種を、スプーン2本を使って、小さく丸めてオーヴンの天板に並べていきます。ここがちょいと難しい……と思いきや、どの調理台も手際のいいこと。丸めた種を囲んで「これ、大きくない?」「だったら、ちょっと減らしてこっちにつけちゃえば?」「ここ、くっつき過ぎじゃない?」などなど、愉しそうに作業を進めていらっしゃいます。なんだか、いい雰囲気です。

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丁寧に調理の手順を解説します

天板をオーヴンに入れて甘く香ばしい香りが漂いはじめると、いい雰囲気は幸せな雰囲気に。焼き色を確かめながら焼くこと九分ほど。小さく丸めた種は直径5〜6cmの大ぶりのクッキーに焼きあがりました。ラックで冷ます間ももどかしく、さっそく試食に移ります。

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ハンナ特製、甘くてさくさくのチョコチップ・クランチ・クッキー

いかにもアメリカのクッキーらしくて、大ぶりで素朴。焼きたてはもっちり、冷めるとさくさくです!

試食しながら、上條さんからは翻訳にまつわるエピソードやシリーズの魅力について、編集者のおふたりからは本作りに関するお話をうかがいます。それから、忘れてはならないのが、ミネソタのお話。今回は“ミネソタ割引き”なるものを設定して、作品の舞台となっている「ミネソタ州に住んでいたことがある参加者の方」を募ったのですが、該当する方が一名。ミネソタの小さな町に交換留学で一年間住んでいらしたとのことで、ハンナ・シリーズでお馴染みの冬の寒さ、小さな町の暮らしぶり、ミネソタ流休日の過ごし方などなど、経験した方でなければわからない愉しいお話を聞かせていただきました。

20名ほどのこぢんまりとした集まりなので、質問もあれこれ。そこからまた話が弾んで思いもかけなかった話題に移ったり。ハンナの〈クッキー・ジャー〉もかくや、と思われる、のどかでなごやかな光景が繰り広げられます。

当然、話は尽きることなく、手早く後片付けをすませたあとは、懇親会の会場に場所を移して、さらに二時間ほど、しゃべる、呑む、しゃべる、食べる、しゃべる、しゃべる、しゃべる……が続きました。ハンナのファン、コージー・ミステリーの愛好家、お菓子作りが趣味の方ばかりではなく、いろいろな方が集まってくださったからでしょうか、話題も幅広く、世話人一同まで世話人であることを忘れてすっかり話し込んでしまいました。

というわけで、おかげさまを持ちまして、第1回調理実習はなごやかな雰囲気のうちに無事に打ち上げることができました。力や知恵を貸してくださったみなさま、お手伝いくださったみなさま、そして参加してくださったみなさまに、心からお礼を申しあげます。

世話人一同、すっかり気をよくして、早くも第2回に向けて作戦を練りはじめています。次はがらりと趣向を変えて、がっつり系のメニューにするとかしないとか。詳細が決まりましたら、またこのサイトなどを通じてお知らせをさせていただくつもりです。

今回ご一緒くださった方、懲りずにぜひ次回も。

今回ご一緒できなかった方、思い切ってぜひ次回こそ。

ご感想、ご意見、作ってみたいお料理のリクエストなどありましたら、mys.cooking@gmail.com まで。

ミステリーなキッチンで、たくさんの方々とお会いできることを、世話人一同、愉しみにしています。

〈翻訳ミステリーお料理の会〉世話人一同

芹澤 恵(せりざわ めぐみ)

翻訳者。〈翻訳ミステリーお料理の会〉世話人。食いしん坊兼呑み助。自称料理好き。ありものでこしらえるシンプルな料理(別名“手抜き”)を得意とする。訳書にウィングフィールド『冬のフロスト』、ヘインズ『クラッシャーズ/墜落事故調査官』、サーバー『傍迷惑な人々』他。

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