例年のように、最後に、◆2025年のクラシック・ミステリ◆という年間回顧を書いています。
■エセル・リナ・ホワイト『恐怖が村に忍び寄る』(林清俊訳)■
海外ミステリ、ホラー、ファンタジー等ジャンル小説の発掘をされている訳者による2025年12月の新刊 (電子書籍のみ)。以前に、クロード・ホートン『わが名はジョナサン・スクリブナー』、アーノルド・ベネット『グランド・バビロン・ホテル』を紹介したことがあったが、今回の新刊は、エセル・リナ・ホワイト。Kindle版で500円、kindle unlimited版では無料で読める (AMAZONの廻し者ではありません)。
エセル・リナ・ホワイトといえば、ヒッコック監督『バルカン超特急』やロバート・シオドマク監督『らせん階段』の原作者として知られている英国女性作家。1930、40年代に活躍し、生涯に17冊の長編を遺したが、近年では、本国でリプリントが続き、再評価の機運が高まっているらしい。我が国では、今世紀に入ってから奇しくも同年(2003)に、両映画の原作『バルカン超特急:消えた女』(1936)(小学館)、『らせん階段』(1933) (早川ポケミス) が出ているが、その後の音沙汰はなし。
『恐怖が村に忍び寄る』(1932) は、作家の第二作に当たる。一読、こじんまりとしたミステリの形式で、こんな大きなテーマ性を扱えるのか、という驚きをもたらす秀作だ。
舞台は、丘陵地帯の窪地にある花にあふれる美しい村。村には貧困も失業もない。社交が盛んで、誰もが親切。上流の人々にも、使用人にも地上の楽園のような場所だった。一通の匿名の手紙が「村の女王」ミス・アスプレイに届くまでは。手紙は、彼女の恥ずべき素行を告発するものだった。告発者の正体を巡って、村の人たちが疑心暗鬼になる中、やはり告発の手紙を受けた村に住む女性作家が睡眠薬の過剰摂取により死亡する。さらに、村の住人に対し匿名の手紙が届き、村人は恐怖に襲われていく。
冒頭に、上流夫人のつき添いをしているジョウンとロンドンから遊びに来た友人の作家の会話がある。この村を舞台に物語はつくれない? と尋ねるジョウンに、作家は、きれいな花は泥の上に咲くものといい、村の人々は、実は、皆、秘密を抱えており、おしどり夫婦は実は夫婦ではなく、牧師はセクシーな女性たちとパジャマパーティ、医者は奥さんを毒殺しようとしていると戯れに語る。物語は、女性作家の戯言が的中するかのように、手紙事件をきっかけに、人々のスキャンダルが次々と明らかになっていく。
匿名の告発の手紙が、一滴たらした毒液のように、人々の疑心暗鬼を生み、平和なはずの共同体が揺らいでいくというというテーマは、昨年出たドロシー・ボワーズ『弔いの鐘は暁に響く』(1947) 、アガサ・クリスティー『動く指』(1942)、クルーゾー監督の映画『密告』(1943) などにもみられるが、本書は、このテーマの初期の成果にして決定版といいうるものだろう(初めてのものではないことは、例えば、昨年取り上げたハーバート・ジェンキンズ『マルコム・セージ探偵』の短編「ガイルストンの中傷事件」にも同様のモチーフがある)
村の人々の精神的主柱である「村の女王」ミス・アスプレイに届いた手紙は、またたく間に村の噂となり、人々は密告人の正体をめぐり疑心暗鬼となる。人々の社交は途絶し、多くの人に告発の手紙が送られていると推測される中、さらに二人の死人が出る。おとぎ話のような平和な共同体が不安と恐怖に浸され、崩壊していくさまが生々しく描き出される。
良質なサスペンスとしては、これで十分なはずだが、本書は、半ばから素人探偵が登場する典型的探偵小説の構造も持っている。探偵役は、牧師の友人であり、裕福で暇を持て余している小柄な男、イグネイシャス・ブラウン。恐ろしいほどの自信家だ。告発者の正体を巡って、関係者にノンシャランと接触し、手がかりを積み重ねていく。
終幕に向けて、複数の人間が犯人として名指しされて、読者は引き回されるが、イグネイシャスは、一筋縄ではいかない真相に辿り着く。彼の推理自体は、シンプルなものだが、予想された構図を逆転するものであり、複雑な事態の決着の付け方も見事だ。素人探偵というデウス・エクス・マキナにより、悪は摘出される。作者は、探偵による世界の秩序の回復という探偵小説の作法に則って本書を書いている。だが、しかし、果たして問題は解決したのだろうか。
イグネイシャスは、匿名の告発という「毒」を培養する無害なゼラチンになったものを鋭く指摘する。それは、人の善性であり、無邪気さであった。「地獄への道は善意で舗装されている」という諺がこれほどしっくりくる例は少ない。
小説はおとぎ話風に始まり、おとぎ話風に終わるが、作中で扱われる階級間のきしみ、外部と内部、専制と服従、依存と被依存といった数々の要素や、善と悪に関する考察は、おとぎ話を超え、同時代的でもあり、普遍的でもある世界の似姿になっている。
的確な人物描写や情景描写に鋭い洞察とビターな世界認識を併せもった本書は、サスペンス豊かな優れたミステリであると同時に、ミステリの可能性を再認識させてくれる小説でもある。
■小鷹信光『パパイラスの舟: 海外ミステリ随想』 (創元推理文庫) ■
再刊ながら、初めて文庫になった名エッセイにも触れておこう。
小鷹信光『パパイラスの舟』は、「ミステリマガジン」(HMM) に連載され、1975年に刊行された海外ミステリ・エッセイ。50年も前の本だが、今読んでも歯ごたえ、読みごたえがあり、新鮮さを失っていない。
翻訳家であり、ペイパーバックの蒐集家でもあった筆者が私生活も交えて気ままに綴ったエッセイ風味でありながら、中身は、膨大な蒐集に基づく余人にはなし得ない手厚いリサーチと考証、卓見に満ちているからだ。
もちろん情報は古くなっているが、小山正氏の50頁超の解説で丁寧に補完されている。
連載第1回では、壁に貼り付けられたロサンジェルスの地図の中の多くのフリーウェイ等を紹介したあと、ロス・マクドナルド『一瞬の敵』に出てくる地名や地形や道路を地図上に発見し、印をつけ、アーチャーの行動を追っていることが明かされる。著者にとっては、これが翻訳の雰囲気づくりなのである。周到なリサーチと考証癖がこの冒頭からも伝ってくる。
「ハメット・チェックリスト」の回では、中・短編小説74編のタイトルをアルファベット順に並べ直すために、74の短冊の束をつくって、ハメットの人生に思いを馳せたりもしている。
「夫婦探偵とクェンティン」の回では、まだ全貌が知られていなかったダルース夫妻の関係の変化に早くも着目し、小説のサスペンスより「不穏な緊張関係が高まってゆくアイリスとの夫婦関係のもつれ」のほうがずっとハラハラさせるとし、こうなれば素人探偵としての退場は明らかに予想されるという的確な見解を述べる。
「セリノワール」の回で、フランスのセリノワール叢書のリストをつくるうちに、ジム・トンプスンを「発見」し、紹介しているのも意義深い。映画『ゲッタウェイ』公開の際には、「映画では省略されてしまったエル・レイの王国の存在が、小説『ゲッタウェイ』を成立させている唯一最大のモチーフ」と喝破している。
「ホレス・マッコイ論」では、まだ翻訳のなかった『屍衣にポケットはない』『明日に別れの接吻を』に残酷な極限描写の裏に抒情性を感じ取っている。
というように、付箋を付けだすとキリがない。翻訳が進んだ今だからこそ判る著者の眼力の高さが随所にあるのだ。
献辞の話や「あとがき」論も、ユニークで、ためになる。
「アメリカのファンジンとJ・D・マクドナルド」の回では、ファンジンの軌跡を追いながら、詳細な書誌が生成していく過程が実に面白いが、ファンのありように、自分だけけにしかできない方法で何かにコミットしたいという、「疎外された現代人の最後のあがき」をみてとる文明批評的な醒めた視点も忘れていない。
ビブリオグラフィー (書誌) については、あちこちで触れ、後に雑誌「幻影城」を立ち上げた島崎博氏が発行月 (年ではない) を確かめるだけに、古書店で1万8000円を投じた例を紹介し、書誌道の厳しさを伝える。賢い評論家先生は、報われないビブリオグラファーの作業結果を“拝借”して済ましこんでいるとも、評論家にはビブリオグラフィックな知識が絶対に必要であり、バカな評論家先生のご尊名をアイウエオ順にあげてもいいとも書いている辺りは、著者30代の客気も感じさせる(「コ」の項はない、とユーモアも忘れない)。
一種のドキュメント性も面白い。「ハードボイルド・ジャーニー」の回では、自らのコードを貫くマーロウやアーチャー、ハマーは“意識”や“観念”によって抑圧されている古い人間と規定し、この文章を書いたことで「ハードボイルド小説にたいする盲目的な崇拝が音もなく崩壊し」「“英雄(ヒーロー)”は私の中で死滅した」と書いているのは、著者自身も吃驚するよう思考の帰結だったのではないか。
私生活も交えたユーモラスな語り口、海外ミステリ紹介の第一人者であるという自負、時折みせる客気も含め、血と肉を備えた希有のミステリ・エッセイだ。
文中に「HMMの最も厚い読者層であるローティーン世代」「アンケート調査によると、十一歳から十九歳までが最も厚い読者層」とある。私事になるが、筆者は、『パパイラスの舟』には間に合わなかったが、同じくHMMに連載の『続・パパイラスの舟』にはローティーン世代として乗船できたクチ。当時は、HMMの複数の書き手たちがマイ・ヒーローで、小鷹信光ももちろんその一人だった。海外ミステリ情報の話題で書き手と関心を共有しえた時代に十代を過ごせたのは、幸運なことだったのかもしれない。
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◆2025年のクラシック・ミステリ◆
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2025年のクラシックミステリを振り返ると、やはり新潮文庫の海外名作発掘プロジェクト「HIDDEN MASTER PIECES」が快走した年だった。
本欄で扱った60年代以前の作品をとってもチェスター・ハイムズ『逃げろ逃げろ逃げろ!』、ドロシー・B・ヒューズ『ゆるやかに
論創海外ミステリは、ネロ・ウルフ物の長編を3冊するなど順調に刊行が続けられ、ドロシー・ボワーズの遺作『弔いの鐘は暁に響く』の紹介など、相変わらず心強いが、一方で、マニアックすぎるセレクトもみられ、ファンが望む埋もれた秀作・佳作の紹介にさらにギアを入れることを期待したい。
扶桑社ミステリーからは、フランシス・ビーディング『イーストレップス連続殺人』という秀作の紹介が記憶に残るほか、チャールズ・ウィリアムズの『天界の戦い』という異色作の紹介があった。
国書刊行会では、ジョエル・タウンズリー・ロジャースのコレクション第2巻の超異色作『骰を振る女神』、ピエール・スヴェストル&マルセル・アラン『ファントマと囚われの王』で「ベル・エポック怪人叢書」が完結。チャールズ・ウィリアムズ『ライオンの場所』が、〈ドーキー・アーカイヴ〉から。
ヒラヤマ探偵文庫からは、クリントン・H・スタッグ『銀のサンダル』、エス・ア・ドゥーゼ『毒蛇の秘密』、ハーバート・ジェンキンズ『マルコム・セージ探偵』と順調。
幻戯書房〈ルリユール叢書〉から、シルビナ・オカンポ/アドルフォ・ビオイ・カサーレス『愛する者は憎む』、ジョルジュ・シムノン『故ギャレ氏 リバティ・バー』。世界文学の叢書がミステリにも目配りしているところが嬉しい。
新しい動きとしては、東宣出版から、瀬名秀明氏の肝入りで、ジョルジュ・シムノンのロマン・デュール (硬い小説)シリーズも発刊。『月射病』『袋小路』『反動分子』とこれまで翻訳がなかったのが不思議なくらい面白く、心揺さぶる小説であり、続巻も期待したい。
一方で、老舗の創元推理文庫からは、ダフネ・デュ・モーリア『スケープゴート』、マーティン・エドワーズ編『本好きに捧げる英国ミステリ傑作選』、早川書房からは、アガサ・クリスティー『蜘蛛の巣』[小説版] (チャールズ・オズボーン小説化)と刊行点数は寂しい。クラシック作であっても、企画次第で当たりもあるのだから、今後の奮起を期待したい。
*以下、掲載月を基準にまとめたものであり、タイトル後の数字は、掲載月。
■古典期■

クリントン・H・スタッグ『銀のサンダル アガサ・クリスティ愛誦探偵小説2』(平山雄一訳)6 盲人探偵ソーンレー・コルトン物。異常な冒頭と進行だが、最後にはコルトンの納得の推理がある佳品。
エス・ア・ドゥーゼ『毒蛇の秘密』(小酒井不木・平山雄一 共訳)7百年をまたいだ奇跡の翻訳のリレー。『スミルノ博士の日記』の作者によるスリラー色の強い作品。
ピエール・スヴェストル&マルセル・アラン『ファントマと囚われの王』(赤塚敬子訳)11国書刊行会「ベル・エポック怪人叢書」の最終刊。久生十蘭『魔都』の下敷きになった長編の初訳。
■黄金期■

フランシス・ビーディング『イーストレップス連続殺人』(小林晋訳)6謎解きスピリットと現代的サスペンスの双方が脈打つリッバー物であり、時代を超えた逸品。
ルーファス・キング『時計殺人事件』(熊井ひろ美訳)9曲者作家のデビュー作は、意外に次ぐ意外な展開、先の読めない本格ミステリ。
エレン・ウィルキンソン『国会採決を告げる電鈴』(井伊順彦訳)9英国の国会議員経験者による、国会議事堂内の殺人を扱った珍しい本格ミステリ。
ヴァンス・トンプソン『歪んだ木』(板垣節訳)11フランス人探偵ゲルバが活躍する謎解き物だが、ストーリーテリングをはじめ、相当な怪作。
■ポスト黄金期■

ドロシー・ボワーズ『弔いの鐘は暁に響く』(友田葉子訳)3描写力、テクニック等を集大成しつつ、町を俯瞰する全体小説的趣向により作家としての新境地を示した遺作。
シルビナ・オカンポ/アドルフォ・ビオイ・カサーレス『愛する者は憎む』(寺尾隆吉訳)3文学者夫婦二人の合作による探偵小説の興趣あふれるアルゼンチンミステリの古典。
アガサ・クリスティー『蜘蛛の巣』[小説版] (チャールズ・オズボーン小説化)(山本やよい訳)3 名作戯曲の小説化。
レックス・スタウト『人盗り合戦』(鬼頭玲子訳)6ウルフ邸に訪れた美女が翌日には殺されてしまう事件。アーチーの強い怒りも読みどころ。同じく『忌まわしき悪党』(渕上痩平訳)9 、『二度目の告白』 (渕上瘦平訳)12悪の帝王アーノルド・ゼックとネロ・ウルフとの死闘を描く三部作の第一作、第二作だが、単体の謎解き物としても読みごたえがある。
■ノワール/ハードボイルド/警察小説■

レオ・マレ『探偵はパリへ還る』11ネストール・ビュルマ物の第一作で、フランス初のハードボイルド小説といわれる作品。戦時下に書かれた独自の緊張感あるミステリ。
ヒラリー・ウォー『マダムはディナーに出られません』(熊木信太郎訳) 7巨匠のデビュー作にして、本格ミステリ要素も色濃い、私立探偵〈シェリダン・ウェズリー〉シリーズの第一作。
ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ『骰を振る女神』(夏来健次訳)9異色のノワールにして、偶然と暗合、狂熱的論理で、読者をとんでもない地点に連れ去る独自の魅力に満ちた作品。他に中編2作。
エルモア・レナード『ビッグ・バウンス』9レナードがミステリ分野に乗り出して新生面を切り開いた一作。小悪党の男女の人生の軌跡の交錯を鮮烈に描く。
■サスペンス■

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メアリー・スチュアート『誰も知らない昨日の嘘』(木村浩美訳) 1ミステリとロマンの融け合った物語を香り豊かな筆致で描く名手の異色の「なりすまし」物。
ダフネ・デュ・モーリア『スケープゴート』(務台夏子訳) 2偶然出会った瓜二つの人間が相手になりすまし、その家庭に入り込んでいくというサスペンス。華麗なストーリーテリングに自己探究の物語も組み込まれた、作者円熟期の逸品。
チェスター・ハイムズ『逃げろ 逃げろ 逃げろ!』(田村義進訳)4黒人差別を背景に、殺人犯の白人刑事と黒人青年のスリリングな神経戦。
ドロシイ・B・ヒューズ『ゆるやかに
J・J・ファージョン『向かいを見つめる空き家の目』(小倉さなえ訳)8 再評価著しい作家の〈船乗りベン〉シリーズの第二作。モザイク状のプロットや風変りな犯行計画と犯罪集団は、独自の味わい。
ジャドスン・フィリップス『終止符には早すぎる』(矢口誠訳)12ヒュー・ペンティコーストの別名義作品で、植草甚一が絶賛したサスペンスの初訳。極限の状況で秘密のヴェールが次第にはがれていき事態の全貌が明らかになるという構成が見事。
ジョルジュ・シムノン『故ギャレ氏 リバティ・バー』(中村佳子訳)12のうち、『故ギャレ氏』は、入手困難作だったメグレ物の記念すべき刊行第一弾の再訳。メグレの被害者に対する入込み・共感、同じ危機を経験することというアプローチと謎解きが見事に融合。
イサク・ディネセン『復讐には天使の優しさを』(横山貞子訳)6は、強烈な悪を描いた現代ゴシックとシスターフッドの物語が天性のストーリーテリングで綴られる。
ジョルジュ・シムノン『月射病』(大林薫訳)2アフリカというまだ遠い異郷の地を舞台に、白人と現地人の生態と軋轢、青年の満たされぬ愛と幻滅を描いた作品。同じく『袋小路』(臼井美子訳)4人の心の不可思議さと剥き出しの生の姿をドラマティックに描いて心揺さぶる小説。『反動分子』(荷見明子訳)9無政府主義グループの一員が、仲間の爆弾テロを阻止するために孤軍奮闘するエンターテインメント性高い作品。
■異色■
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孤高の幻想小説の書き手であるチャールズ・ウィリアムズの小説が二冊。『天界の戦い』(風間賢二訳)5は、探偵小説+『マルタの鷹』+神学/オカルトの奇妙な混交体。『ライオンの場所』((横山茂雄訳) 5怪現象は頻発し、村が崩壊の危機にさらされる。いずれも、五官に働きかける悪夢的ビジョンに圧倒される。
フィリップ・スーポー『パリの最後の夜』(谷昌親訳)5は、シュルリアリストによるミステリ風味のある都市小説。
■短編集■

リチャード・デミング『私立探偵マニー・ムーン』(田口俊樹訳)7 米国本国ですら刊行されていない〈マニー・ムーン〉物のオリジナル短編集。陽性ハードボイルドの王道にして、本格ミステリの王道も往く作品を大発掘。
M・R・ラインハート『イザベルの
マンリー・ウェイド・ウェルマン『ジョン・サンストーンの事件簿〈上〉』(渡辺健一郎、待兼音二郎、岡和田晃、徳岡正肇訳)6、『同 〈下〉』(渡辺健一郎、尾之上浩司、健部伸明、岡和田晃訳)10 米国ホラーの長老作家によるオカルト探偵物連作をオリジナル編集で完全網羅。
五人の男と一人の女『冒険家クラブの冒険談』(平山雄一訳)2 、1890年に発刊された六人の話者が語る「シリング・ショッカー」。
ハーバート・ジェンキンズ『マルコム・セージ探偵』(平山雄一訳)12諜報部を退職した会計士のマルコム・セージの活躍を描く連作短編集。題材も幅広く、各編に工夫が。
マーティン・エドワーズ編『本好きに捧げる英国ミステリ傑作選』(深町眞理子他訳)8第一人者によるテーマアンソロジーの理想形。
■評論その他■
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アンドリュー・ウィルソン『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』(柿沼瑛子訳) 1サスペンスの巨匠の生涯の全貌に迫る評伝。
法月綸太郎,新保博久『死体置場で待ち合わせ~新保博久・法月綸太郎 往復書簡~』1博覧強記の「教授」新保博久と、実作者で斯界の論客・法月綸太郎が往復書簡で「モルグ街の殺人」から本格ミステリの現在までを縦横に語り合う。
竹内康浩『謎ときエドガー・アラン・ポー 知られざる未解決殺人事件』3英文学者がミステリの祖エドガー・アラン・ポー作品中の「知られざる未解決殺人事件」の謎に挑む文学探偵物の最高峰。
杉江松恋編『名探偵と学ぶミステリ 推理小説アンソロジー&ガイド』4大人も子供も楽しめることを目指したニュータイプの海外ミステリの入門書。
平井杏子『アガサ・クリスティを楽しみ尽くす百問百答』8クリスティ世界へのハンディで親しみやすい入門書
渡辺博史『ミステリで知る全米50州』10著者の数多い渡米経験を踏まえつつ、各州のあらましと併せて各地を活写したミステリ270作を紹介したユニークな本
霜月蒼『ガールズ・ノワール』10 ミステリにおける女性の戦いを見届けようとする長編評論。古典ミステリも数作扱われている。
ヒラリー・マカスキル『アガサ・クリスティーの家と暮らし』(富原まさ江訳)11クリスティーの家と暮らしという点に着目して、作家の素顔に迫る一冊。
篠田航一『コナン・ドイル伝 ホームズよりも事件を呼ぶ男』12医師、作家であると同時に、強烈な心霊主義者で愛国者だった矛盾をはらんだ作家の生涯を数々のエピソードで紹介。
■2025年極私的ベスト9 +α■
| ストラングル・成田(すとらんぐる・なりた) |
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ミステリ読者。北海道在住。ツイッターアカウントは @stranglenarita 。 ■note: https://note.com/s_narita35/ |

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